種別 論文
主題 高温にさらされたコンクリートの性状の変化に関する研究
副題
筆頭著者 嵩英雄(竹中工務店技術研究所)
連名者1 岸谷孝一(東京大学工学部)
連名者2 奥野亨(竹中工務店技術研究所)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 25
末尾ページ 28
年度 1979
要旨 1.まえがき
 コンクリートの耐熱性に関する研究は、多数なされているが、その多くは火害を対象とした極めて高い温度の短時間の加熱に関するものであり、あまり高くない温度で長期の加熱を受けたコンクリートの性状の変化に関する研究は少なく、圧縮強度以外の力学的性質のデータはほとんどない。既往の研究では、コンクリートは100℃以下の温度では加熱による影響は少ないとされてきた。しかし、近年、原子炉、海水脱塩プラント、金属精錬工場、コンクリート煙突などの100℃内外の高温に常時さらされるコンクリート構造物が多くなり、その耐久性が問題になってきている。特に、アルミニウム電解工場などでは、50℃程度でもコンクリートの劣化に起因する損傷事故の事例も少なくない。このため長期間の高温加熱がコンクリートにおよぼす影響の検討が必要となってきた。本研究は、常温から300℃の範囲の温度を対象とした一連の広範の実験により、長期間にわたり高温にさらされたコンクリートの諸性質の変化を明らかにし、さらに50℃付近での温度における異常な強度低下の現象を解明しようとしたものである。
5. 考察および結論
 以上、一連の実験結果に対する考察および結論は次の通りである。
1) 300℃以下でも長期高温乾燥を受けるとコンクリートの強度は低下し、特に引張、せん断、付着強度および静弾性係数の低下が著しい。調合では水量が多く、水セメント比が大きいほど圧縮強度の低下が大きい。骨材では既往の研究と異なり、硬砂岩と玄武岩が優れ、石灰岩の低下が大きい。
2) 特に、50℃付近では特異な現象を生じ、より高い温度より強度の低下が大きくなる。この現象は調合、セメントおよび骨材などに関係なく、また圧縮強度以外の引張、曲げ、せん断および付着強度などにも生じる。この極小点は加熱期間が長くなるに従って、低い温度に移行し、20〜40%の含湿状態に対応すると考えられる。
3) 加熱によるモルタルの収縮は、温度とともに単調に増大せず、50℃で極大値をとり、加熱期間が長くなるに従って収縮が減少する。また、110℃以下の温度では、セメント硬化体の鉱物組成に変化は生じないが、細孔容積は、加熱温度によって変化し、80℃で極小値をとる。従って、50℃付近の温度における特異な強度低下の現象は、加熱による結晶水の脱水に基づくものではなく、細孔中の水分の拡散に伴って、20〜40%の含湿状態においてセメント硬化体が膨張もしくは空隙が増大することによると考えられる。
PDFファイル名 001-01-0007.pdf


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