種別 論文
主題 鉄筋コンクリート・コーベルの鋼繊維による補強について
副題
筆頭著者 原忠勝(日本大学)
連名者1 北田勇輔(日本大学)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 341
末尾ページ 344
年度 1979
要旨 1.緒言
 曲げに比べてせん断力の影響の大きい領域での部材のうち、鉄筋コンクリート・コーベルの設計はG.Franzらの研究に基づくもので、以後、我国に於ても、これらを指標とした設計法が用いられている。これらは、コーベルの性状を単純化したトラスとするもので、その配筋法は光弾性の結果より、スターラップをAv=(1/3〜1/4)Astの範囲で用いるものである。また、近年、A.H.Mattockはせん断摩擦理論を指標として、これら部材の設計方法を提案している。配筋方法にこのような再検討が加えられたのは、鉄筋コンクリート・コーベルも破壊機構が複雑なせん断破壊が主な要因であるためと思われる。一方、数多くの研究によって、コンクリートの欠陥と云われている引張、曲げ及び靭性等、種々の性質が改善されるとして、鋼繊維補強コンクリートが注目されている。これらがコンクリート構造物を安全且つ経済的に使用目的を達するための一手段として有用なものであるとすれば、強度、変形並びに耐久性等の諸条件を満足するものと思われる。よって、これら鉄筋コンクリート・コーベルに対する補強方法にも、ランダムに混入される鋼繊維が有用であると考え検討を行ってきた。その結果、鋼繊維がこの種の部材に対しても効果がある事が見い出された。
 そこで、本報告に於ては、鋼繊維の種類を変え、鉄筋コンクリート・コーベルを単純トラス理論で設計した場合の鋼繊維による補強について、主鉄筋量Ast及び混入率Vf(vol.%)を変化させて実験を行い、通常のスターラップによる補強の場合と比較したものである。
4.まとめ
 これより、鉄筋コンクリート・コーベルを鋼繊維で補強する場合について、主鉄筋量及び鋼繊維混入率を変化させて実験を行い、通常用いられている水平スターラップとの比較を行った結果、次の事が要約される。
1)鋼繊維を混入する事により、これらコーベルの耐力が増加し、補強効果はCP110に示される主鉄筋量の範囲であれば、Vf=0.6vol・%程度で、スターラップと同様の効果が得られる。しかし、斜めひびわれ荷重に対しては顕著な増加が見られない。
2)本実験の場合、鋼繊維による補強効果は主鉄筋量によって影響をうけたため、補強因子との間に明確な関係を求める事ができなかった。これらについては実験のつみ重ねが必要であると思われる。
3)鉄筋コンクリート・コーベルについての各算定式は統一的な見解が得られていないが、破壊耐力算定式としてはACI318-77が比較的良いように思われる。
4)また、本実験のように、単純トラス理論でコーベルを設計する場合、計算で求められる主鉄筋量よりもさらにPt=0.5%程度多く用い、さらにスターラップの配置にも十分に考慮する事が望まれる。
 よって、本文に於ては耐力性状のみについて述べたが、鋼繊維を用いた場合、ひびわれ抑制にも貢献するようで、鋼繊維補強コンクリートはこの種の部材に対しても比較的有用であると考えられ、本実験の範囲内に於ては配筋法の簡略化にもつながると思われる。
PDFファイル名 001-01-0086.pdf


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