種別 論文
主題 コンクリートの直接引張試験方法による鋼繊維の付着強度試験について
副題
筆頭著者 尾崎訊(室蘭工業大学)
連名者1 志村政雄(室蘭工業大学)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 409
末尾ページ 412
年度 1979
要旨 1.はじめに
 鉄鋼各社が鋼繊維の生産に參加し、各種の鋼繊維が開発・市販されるようになってから、鋼繊維コンクリートに関する研究が進展し、施工例も多くなってきた。コンクリートのひびわれを拘束し、圧縮強度に比べて著しく小さいコンクリートの引張強度や靭性を改善しようとした開発当初の目標は、多くの研究成果によって、かなり達成されたかに見える。しかし、これらの研究過程で問題になった点も多く、割裂試験に代る直接引張強度試験の例に見るごとく、試験方法の問題もその一つである。
 鋼繊維コンクリートの曲げあるいは引張破壊は、鋼繊維の一部破断もあるが、一般には鋼繊維の引抜けによって生じる。このため、鋼繊維とコンクリートとの付着強度が重要視され、鋼繊維の限界長さや鋼繊維コンクリートの強化則の確立のためにも、コンクリート中に埋込んだ鋼繊維素材の引抜き試験による方法が当初用いられた。しかし、素材ではなく、各種の市販繊維を利用できる現在、実際に則した短繊維を用いて付着強度を容易に試験できる方法が望まれる。
 著者らはさきに、鋼繊維コンクリートの引張強度試験について発表したが、その際に用いた直接引張試験装置を、供試体型枠も含めて、そっくりそのまま使用して、鋼繊維とコンクリートとの付着強度試験を行っている。ここに発表して、この試験方法の評価を問うものである。
4.結論
 多くの種類の鋼繊維の出現とともに、鋼繊維の基本的性能の一つである付着強度を知るための試験は、単に付着強度の優劣だけでなく、複合体としての鋼繊維コンクリートの強化論と個々の実験結果を結びつける上でも重要である。コンクリートの引張強度試験のための直接引張試験法によるこの方法は、市販されている鋼繊維の付着強度を試験する便利な方法と思われる。なお、本研究の過程で得られた結論を記すと、
(1)市販されている鋼繊維では、単繊維の引抜試験が難しいが、角柱供試体の切断面に相当する面に多数の鋼繊維を埋込んだ供試体の直接引張試験をすることにより、引抜け荷重から平均付着強度を求めることができる。
(2)この場合、マトリックスには、対象とする鋼繊維コンクリート中のモルタル分を用い、埋込む鋼繊維の間隔は、対象とする鋼繊維コンクリート中の繊維間隔に相当する値を採用することが望ましい。この理由は、実験の結果、鋼繊維の間隔が付着強度に影響すると考えられるからである。
(3)鋼繊維の埋込本数は、引抜け面以外のマトリックスで破壊しない限度内で、できるだけ多数埋込む方がよい。この理由は、供試体の取扱いが容易で、引張試験体の荷重も大きく、結果的に精度が期待できるからである。なお、マトリックスの破壊限度は、同一の試験装置によるモルタルの直接引張試験で求めうる。
(4)引抜け荷重が同じでも、付着強度性状に違いがある場合が予想されるが、実験例で示したように、変位計の併用によって、このような性状も容易に知ることができる。
PDFファイル名 001-01-0103.pdf


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