種別 論文
主題 高温下におけるコンクリートの透気性に及ぼす加熱条件の影響
副題
筆頭著者 長瀧 重義(東京エ業大学)
連名者1 氏家 勲(宇都宮大学)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
10
2
先頭ページ 243
末尾ページ 248
年度 1988
要旨 はじめに
原子炉関連構造物、海水淡水化装置の蒸発缶体、薫蒸サイロなどの構造物においては、大型化に伴って安全性および経済性などの点から、鋼製に変えて鉄筋コンクリートあるいはプレストレストコンクリート構造とする傾向にある。この種の構造物においては、有害物質の漏洩などの機能性の低下を防止するために高温下においてコンクリート自身に高い気密性が要求される。既往の研究によると、高温に曝されるコンクリートは、コンクリート内部の毛管水やゲル水の脱水、さらにはセメントペーストと骨材あるいはモルタルと粗骨材との熱膨張係数の相違によって生じる微細なひびわれなどによって、圧縮強度および弾性係数の低下などコンクリートの力学的性質が常温で使用される場合とは著しく異なることが明らかにされている。透気性に関しても高温履歴を受けることによりコンクリートの気密性が低下することを筆者らは報告したが、実際の構造物のように熱の作用を受けているときのコンクリートの透気性に関する研究は殆ど行われていない。今後、上述のように気密性を必要とするコンクリート構造物の建設が増加することが予想されることから、高温下におけるコンクリートの透気性を解明することは極めて重要である。そこで本研究は加熱温度を50℃、100℃および150℃とし、加熱温度がコンクリートの透気性状に及ぼす影響について調べ、また各温度に曝されているコンクリートの透気係数の経時変化 を把握すること、さらに高温に曝されていることにより生じる微細ひびわれやコンクリートから逸散する水分の観点から、高温下におけるコンクリートの透気性について検討し、また常温における実験結果と比較検討し、高温に曝されるコンクリートの透気機構の解明を試みることを目的とするものである。
結論
本研究で得られた結果をまとめると次の通りである。加熱温度50℃に曝されているコンクリートの透気係数は加熱日数の経過とともに徐々に増加するが、その増加割合は常温におけるコンクリートの場合より大きくなっている。しかしながら、コンクリートから逸散する水分量の増加割合で比較した場合、加熱温度50℃の透気係数の増加割合は常温におけるコンクリートの透気係数の増加割合と一致する。従って加熱温度50℃のコンクリートの透気性は常温の場合と同様に、コンクリートから逸散した水分量によって説明することができる。100℃および150℃の温度に曝されているコンクリートの透気係数は加熱されることにより増大するが、その増加割合は常温および加熱温度50℃の場合と異なり、逸散水量の観点からは説明できない。この原因としては、常温あるいは加熱温度50℃の場合のコンクリートを透遇する空気の通路に水分が逸散した空隙であったのに対して、加熱温度100℃および150℃の場合の空気の通路が主にコンクリートが加熱されたことにより生じた微細ひびわれであるためであり、100℃および150℃の高温に曝されているコンクリートの透気係数は微細ひびわれの量あるいは微細ひびわれの幅などの影響を受けることが明らかとなった。
PDFファイル名 010-01-1043.pdf


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