種別 論文
主題 ポリプロピレン繊維補強セメントの直接引張挙動における異方性
副題
筆頭著者 眞嶋 光保(大阪市立大学)
連名者1 D.J. Hannant(University of surrey)
連名者2 J.G. Keer(University of surrey)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 647
末尾ページ 652
年度 1988
要旨 まえがき
セメント系材料は、施工性、経済性から建設材料としてきわめて重要なものと位置づけられている。しかしながら、材料の脆性的な性質や低引張強度など克服すべき短所も多い。このため、セメント系材料を繊維によって補強する試みが古くから行われている。補強用としての繊維は種々のものが考えられており、現在では、石綿、鋼繊維、ガラス繊維、炭素繊維などが使用されているほか、開発中のものも多くある。この中でも、繊維補強セメントの代表的なものは石綿であり、石綿シートおよび石綿管などに使用されている。しかしながら、石綿は発癌性に関する健康上の観点から社会的な問題となっており、全国的なリフォームが行われていることは周知のことであるが、これに替わる補強用繊維の開発が必要であることはいうまでもない。繊維補強コンクリートは短繊維によって補強されたものであるという考え方があるが、繊維の形状によってあるいは効果的な使用・施工を考えると他の形状が対象になることがある。この様な繊維の例としてポリプロピレン繊維が挙げられる。ポリプロピレン繊維は、モノフイラメントあるいはフイルムの形で得ることができるが、物理的な性質を考えると、一軸方向に延伸したフイルムをフイブリル化してネットワークとしたものが優れている。したがって、ポリプロピレン繊維はこれまで使用されてきた補強繊維のように短繊維ではなく、連続繊維の形態となっている。すなわち、補強されるマトリックス中においても繊維はランダムな配置とはならず、配向性を有することになる。このため、載荷重の作用下では、その方向と繊維軸方向とが一致した場合には、繊維は有効的な作用をするが、そうでない場合にはかなり異なった挙動をすることが予想される。繊維補強セメントは、その性質上応力状態の複雑な箇所に使用されることも多いと考えられるため、本研究では、ポリプロピレン補強セメントが、繊維軸方向と異なる方向に荷重作用を受けた場合の挙動を直接引張試験によって調べることとした。
まとめ
本実験では、連続繊維補強セメントにおける繊維の配置方向によって補強効果がどの様に表れるかを調べるために、直接引張試験による評価を試みたものである。補強繊維においても影響を及ぼすことが明らかになった。補強繊維のヤング係数がマトリックスのそれより小さい場合には、初期ひびわれ状態は、ほとんどマトリックスのみにより影響されると考えられていたが、この考え方は改めなければならない。今後は、連続繊維補強セメントの繊維の配置にる異方性を予測するために、配置した繊維の幾何学的な形態と工学的な特性の関連性を定量的に評価することが必要であると考えられる。
PDFファイル名 010-01-1115.pdf


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