種別 論文
主題 主筋に丸鋼を用いたRC柱の補修に関する研究
副題
筆頭著者 田才  晃 (東京大学)
連名者1 犬飼 瑞郎(東京大学)
連名者2 小谷 俊介(東京大学)
連名者3 青山 博之(東京大学)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 51
末尾ページ 56
年度 1988
要旨 はじめに
これまで、我が国で発生した比較的規模の大きな地震で、震度5以上だった地域では概ね一割程度の鉄筋コンクリート建物に中程度以上の被害を生じてきた。将来の地震においてもこの程度の被害が生じることは充分考えられるが、建物の集中する地域では被害棟数は相当な数になる懸念がある。このような被害建物全てを取壊すかあるいは適切な補強を施すことは必ずしも現実的とはいえない。簡便な方法で被害箇所を修復し、少なくとも被災前の構造物と同等以上の耐震性が得られるような補修方法を確立しておく必要がある。一方、旧基準で設計された比較的古い建物の中には主筋に丸鋼を用いたものがかなりあるものと考えられる。実際1968年十勝沖地震、1978年宮城県沖地震では丸鋼を使った建物の被害が少なくなかった。近年、補修補強に関する研究が行われるようになったにもかかわらず、丸鋼を使った部材の復旧技術に関してはほとんど検討されていない。そこで本研究では、主筋に丸鋼を用いた曲げ破壊した柱の補修を取上げた。ここで扱う補修とは、部材の配筋、断面寸法・形状を変えない復旧方法とした。すなわち、特別な補強は行わず、損傷部分を修復するのみで、処女部材の力学的性状と同等以上の性能を得ることを目標にした。 特に、異形鉄筋に比べ機械的な付着作用のない丸鋼の付着特性の劣化に着目し、補修後の部材の復元力特性に及ぼす影響と劣化した付着を回復させた場合の挙動を実験的に検討した。使用した補修材料は、過去に筆者らが行った実験で、異形鉄筋の付着破壊の回復に効果のあった樹脂系の材料を対象とした。
まとめ
主筋に丸鋼を用いた柱の曲げ破壊を効果的に修復する補修方法について、実験的に検討し、次の点が明らかとなった。(1)損傷の集中する部材端部のみを高強度材料を用いて補修しても、部材中の主筋の付着劣化が回復されないために、補修後部材の復元力特性は補修前に比べ劣化し、エネルギー消費能が低下した。しかし、補修前にコンクリートの圧壊を生じた大変形時では、補修樹脂材料の圧壊が生じにくく、部材の耐力が維持された。これらの傾向は、短柱、長柱とも同様にみられた。(2)丸鋼の付着破壊は外観には損傷として現われないが、これを積極的に補修することにより、元の部材と同等以上の性能を得ることが出来た。短柱試験体では、主筋全長にわたって、丸鋼に対する付着耐力が通常のコンクリートよりも高いプレパックドコンクリートで置換する補修によって良好な性状を得た。主筋全長にわたって補修を行なうのは現実的でないと考えられる長柱試験体では、鋼材との接着強度が高い樹脂モルタルで部材中間部の被りコンクリートの一部を置換することによって、付着劣化によるエネルギー消費能の低下を防ぐことが出来た。(3)付着破壊した丸鋼とコンクリートの周囲に樹脂を注入する補修は、異形鉄筋の付着割裂破壊の場合と異なり、可能性がない。
PDFファイル名 010-01-2010.pdf


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