種別 論文
主題 連層耐震壁の靱性に関する研究
副題
筆頭著者 望月  洵(工学院大学)
連名者1 梅田 正芳(工学院大学)
連名者2 小野里憲一(工学院大学)
連名者3
連名者4
連名者5
キーワード
10
3
先頭ページ 261
末尾ページ 266
年度 1988
要旨 はじめに
連層耐震壁は重要な耐震要素であり、その設計法の確立には、靱性の解明が強度の解明とともに必須である。文献[l]に、既往の研究成果が整理されているが未決の問題が多い。耐震壁の靱性について解明しなければならない問題は、付帯柱主筋の降伏で決まる全体曲げ引張降伏がせん断破壊に先行する条件の決定、靱性についての実験的資料の蓄積、および解析モデルの確立と考えられる。一方、耐震壁を靱性あるものにするには、その純せん断強度として、付帯柱のせん断破壊が生じないで壁板のスリップ破壊で決まる強度、すなわちスリップ破壊強度を与えるのがよいと、筆者らは考えている。その理由は、スリップ破壊するときに耐震壁は最大の純せん断強度を示し、その後も柱軸力に対する抵抗と付帯柱・梁フレームのもつ水平せん断強度を維持できる事実にもとづいている。曲げ・せん断をうける耐震壁の全体曲げ引張降伏時の変形限界は、付帯柱の引張破壊、圧縮破壊、せん断破壊および壁板のスリップ破壊のいずれかで決まる。前二者の制御または補強は比較的容易であり、また柱のせん断破壊を防ぐのは、耐震壁にスリップ破壊強度を与えることで可能となる。しかし、壁板のスリップ破壊は変形限界を極めて小さくするので、靱性評価にはこの破壊性状の把握が必須である。この場合、靱性を大きく左右するのは、全体曲げ引張降伏せん断力の大きさである。本研究は、上記の考えにもとづいて、主なパラメータとして、スリップ破壊強度の計算値Qs(cal)に対する全体曲げ引張降伏せん断力の計算値Qb(cal)の比γ=Qb(cal)/Qs(cal)を採用し、連層耐震壁の靱性の解明を目的としたものである。実験では、耐震壁に片持ちの曲げ・せん断を加え、パラメータγと全体曲げ引張降伏先行の条件、靱性率、および変形限界との開係を検討している。解析では、トラス置換されたマクロモデルに著者らの研究にもとづくスリップ破壊条件を導入して解析を行い、実験結果と比較している。いずれの場合も、変形限界は、付帯柱の引張降伏後に生じる壁板のスリップ破壊で決っている。なお、本研究は、反曲点を壁中央にもつ曲げ・せん断をうける耐震壁に関する研究-文献[2]の基礎にたつもので、加力方法だけが相違している。
結び
片持ちの曲げ・せん断をうける連層耐震壁の実験および解析から、その靱性について次のようにまとめることができる。1)κ≧1.5の場合、パラメータγを0.8より小さくすることで、耐震壁の全体曲げ引張降伏を先行させることができる。そのときの靱性率はμ≧5.0となる。2)全体曲げ引張降伏、またはこれに近い場合、変形限界の下限はRb≧10×10-3radとなる。3) 靱性率と変形限界には、加力方法と壁板の辺長比κがいちじるしい影響を与える。4)設定したトラスモデルと解析仮定による解析値は、実験値の強度を小さめに把え、そして変形限界を、大要、把えている。なお、1)、2)は、Fcが常用値に比べて小さいため限定されたものである。
PDFファイル名 010-01-2048.pdf


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