種別 論文
主題 十字型プレキャスト・プレストレスト・コンクリート耐震要素の耐震性能について
副題
筆頭著者 大沼 正昭(東北工業大学)
連名者1 川股 重也(東北工業大学)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
10
3
先頭ページ 267
末尾ページ 272
年度 1988
要旨 はじめに
鉄筋コンクリート造の建物が大地震により何等かの構造的な被害を被った場合、その建物を修復して再使用するために極めて多大な経済的負担を強いられることはこれまでの震害の度に経験してきたことである。過度な変形を生じて損傷した部位に対してその強度と剛性を回復させるためには何等かの補修・補強が必要である。しかし、破損箇所が建物の自重を支える柱やはりであるだけに補修・補強は技術的に困難であるばかりでなく経済的にも大きな負担となる事が多い。そこで筆者らは、建物の重量を支える構造と地震等の横力に抵抗する耐震要素とを敢えて分離することで万が一の被災時にも容易に交換可能な新しいプレファブ耐震構法について研究開発を行なっている。これまでに、主筋にアンボンドPC鋼棒と普通鉄筋を併用したPCトラス耐震要素を考案し図1のごとく建物の外壁面にPCトラス耐震要素を連続配置することで合理的な耐震構面を形成する新しい耐震構法について一応の成果が得られている。しかし一般の建物に本構法を活用するためには、汎用性のある耐震要素の開発や要素間の接合方法の合理化等解決すべき問題も数多く残っている。そこで今回は、PCトラス耐震要素と同様に高い耐力と優れた変形性能を兼ね備え、尚かつより汎用性のある要素形状を模索し図2のごとくにラーメン構造に相応するフレーム型と外壁面に兼用できるパネル型の2種類の十字型プレキャスト・プレストレスト・コンクリート耐震要素を試案した。いずれの型も、主筋には、曲げ補強話として平行配置した普通鉄筋と圧縮側コンクリート部分とトラスを構成するようにX型配置したアンボンドPC鋼棒とを併用することで、高い初期剛性と高い耐力、さらには残留変形に対する高い復元性を与えながら、過大な地震力に対する靱性能力とエネルギー消費能力の改善を計っている。本論では十字型耐震要素の模型実験結果とその耐震性能について報告する。
まとめ
平行配置した普通鉄筋とトラス状に配置したPC鋼棒を主筋とする十字型プレキャスト・プレストレスト・コンクリート耐震要素は、(1)強度は普通鉄筋の曲げ耐力とPC鋼棒とコンクリートで構成するトラスの耐力の累加強度となる。(2)終局プレストレス率とプレストレス量を操作することで復元力特性を変えることができる。(3)PC鋼棒をアンボンドで用いることで大きな変位靱性率を達成できる。(4)主筋を適切に選定すれば、高い耐力と優れた靱性、さらに適度の復元性を確保できる。ことから、この十字型耐震要素を用いた耐震構法は中低層建物の耐震構法として極めて合理的であると考えられる。
PDFファイル名 010-01-2049.pdf


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