種別 招待報告
主題 鉄筋コンクリート造建築物の耐久設計
副題
筆頭著者 友澤 史紀(東京大学)
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キーワード
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先頭ページ 43
末尾ページ 50
年度 1988
要旨 はじめに
鉄筋コンクリート造建築物は、元来耐久性が極めて優れたものと考えられてきたが、ここ十年ほどの間に、その品質、特に耐久性について種々の問題が提起されるようになった。この理由として、一つには昭和30年代以降の建設量の急激な伸びに伴い経年劣化した建築ストックが最近になって急増し始めたことがあり、他方鉄筋コンクリートは鉄筋コンクリートでありさえすれば数十年の耐久性があると考えるような耐久性軽視の傾向が設計者にも、また発注者側にもあったことによると考えられる。鉄筋コンクリートの耐久性に関する研究は、鉄筋コンクリートの歴史と同じ長さの歴史をもっているといっても過言ではなく、これまでに膨大な量の研究の蓄積がある。しかしながら、それらの研究の目的が耐久性研究の本来の究極の目的であるべき構造物の設計・施工・維持保全の方法、あるいはそれらの基礎となる耐久性の予測方法・評価方法に直接結びつかず、研究の成果がこれらの実際的な場面に活用されていない場合も多いのではないかと思われる。この問題を解決するには、構造物の計画・設計・施工、建設後の維持保全という流れの中で必要な耐久性を確保し、維持していくため、何を、どのように行わなければならないかという合理的なシステムを作り、個々の耐久性研究の目的・成果がこのシステムのどこに位置し、どこに機能するかを明確にすることが必要であろう。またこのように考えることにより、不足している研究・データも明らかになると思われる。昭和55〜59年にかけて行われた建設省総合技術開発プロジェクト「建築物の耐久性向上技術の開発」の中で、上記の考え方にもとづいて鉄筋コンクリート造建築物の耐久設計法についての研究が行われ、その成果が耐久設計・施工指針という形で示されている。耐久設計については、まだこの用語自身一般的に認知されたものでもなく、その手法についても定まった枠があるわけではない。しかし、このプロジェクト研究では一つの試論として耐久設計の考え方が示されている。ここでは、この研究に関与した者の一人として、上記の指針の提案に沿って鉄筋コンクリート造建築物の耐久設計について述べることとする。
おわりに
ここに紹介したRC造建築物の耐久設計についての考え方は、前記の総合プロジェクトにおける研究委員会での3か年以上の議論と研究の成果であるが、まだ概念的な域を脱していないともいえよう。しかし、これをさらにシステム化し、定量化していくことによって耐久設計の手法が確立していくものと期待される。最後に、上記総合プロジェクトに関与された委員諸氏ならびに引用を許可していただいた建設省大臣官房技術調査室長に謝意を表する。
PDFファイル名 010-04-0002.pdf


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