種別 論文
主題 鉄筋コンクリート部材のせん断強度と変形性能
副題
筆頭著者 渡辺史夫(京都大学)
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キーワード
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先頭ページ 105
末尾ページ 114
年度 1988
要旨
曲げせん断を受ける鉄筋コンクリート部材は、危険断面が曲げ破壊する以前の低い荷重段階において斜めひび割れの発生を伴って急激に破壊することがあり、通常これをせん断破壊と呼ぶ。図1にせん断補強筋を有しない鉄筋コンクリート梁の曲げ破壊(引っ張り破壊)とせん断破壊の典型的な例を示した。梁Aは外力の増大にともなって曲げひび割れの発生、引っ張り鉄筋の降伏を経験した後、圧縮縁コンクリートの圧壊により破壊する。一方梁Bは曲げひび割れの発生後引っ張り鉄筋が降伏する以前に斜めひび割れの発生を伴って急激に耐力を失う。これが、典型的なせん断破壊の一つである斜張力破壊であり、この発生の有無に対する目安はせん断スパン長さと断面有効高さの比a/dであり、Kaniによるとa/d≧5.6であれば斜張力破壊は起きないとされている。さて、図1より明かなように、鉄筋コンクリート部材のせん断破壊は脆性的な為、このような破壊は極力避けるべきである。特に、地震国においては、じん性に富んだ曲げ破壊を先行させなければいけない。したがって、現在の鉄筋コンクリート部材のせん断問題に関する研究の焦点は、強度のみを要求される部材のせん断強度およぴじん性部材(降伏ヒンジ発生部材)の曲げ降伏以後のじん性確保の方策にあり、各所で精力的な研究が推進されている。また、新材料、例えば高強度コンクリートまたは高強度せん断補強筋を用いた梁、柱のせん断強度およびじん性に関しても研究が推進されており、一部は既に実用化されつつある。本報告では、せん断ひび割れの発生、せん断補強筋の効果、せん断強度の算定およびじん性の確保といった基本的問題について、過去の主たる研究成果を引用して順次解説を加えていく。ただし、筆者の立場上、主として建築の分野についての解説になることを御容赦願いたい。
あとがき
過去の研究の概略と現在の状況について主として建築の分野に限って述べたが、論文参照等の不備はすべて著者の不勉強と御容赦願いたい。また、軸カの効果については未だ不明確な点が多く今後の重要な研究課題と考えている。尚、本文中の単位は全て、也、kg、cm、kg/cm2である。最後に、本文執筆に当たって提出資科を参考にさせて頂いた、日本建築学会RC耐震設計小委員会およびせん断WGの委員各位に厚く御礼申し上げます。
PDFファイル名 010-04-0009.pdf


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