種別 論文
主題 細骨材の粒形の相違がコンクリートの諸性質に及ぼす影響
副題
筆頭著者 田澤栄一(広島大学)
連名者1 米倉亜州夫(広島大学)
連名者2 西岡直樹(広島県)
連名者3 石田雅彦(広島大学)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 35
末尾ページ 40
年度 1989
要旨 はじめに
近年、良質のコンクリート用天然細骨材が枯渇してきているため、海砂や人工骨材である砕砂の利用が盛んとなっている。骨材の粒子形状は球や立方体に近い多面体状で、丸みを帯びているものが良いとされている。現在使用されている海砂の場合、塩分を含むだけでなく細長や薄状の粒子や貝殻を多く含んでいる。またジョークラッシャーやロッドミルによって製造された通常の砕砂の場合、その粒子形状は角張っている。コンクリー卜において単位水量を低減することは良いコンクリートを作る上で最も重要視されているが、これらの細骨材をコンクリートに用いると、所要のスランプを得るために必要な単位水量が著しく大きくなる等の問題を生じることが最大の欠点といわれている。遠心力を利用した新しい製造方法よって作られた砕砂(以下砕砂Aと称する)は、その製造過程において、ある程度破砕した骨材をミル容器内壁へ衝突させるとともに、骨材粒子を互いに衝突させることによって、骨材表面部の角張りをなくし、従来の砕砂(以下砕砂Bとする)に比べより丸みを帯びた粒子形状となっている。そのため、この砕砂Aを用いることによって、所要のスランプを得るために必要な単位水量を減少でき、その結果コンクリートの種々の品質を改善することが期待できる。そこで本研究では、細骨材の粒子形状に着目して、砕砂Aを用いた場合のフレッシュコンクリートの諸性質(最適細骨材率、スランプと単位水量、ブリージング)及び硬化コンクリートの強度特性(圧縮強度、引張強度、静弾性係数)を調べ、砕砂Aと同一の母岩から従来の方法で製造された砕砂B、海砂の50%を砕砂A又は砕砂Bで置換したもの、および川砂を用いた場合と比較しながら粒子形状がコンクリートの諸性質に及ぼす影響と砕砂Aの有用性について検討し、配合設計の際の基礎的資料を得ることを目的とした。
結論
本研究で行なった実験の範囲内で以下のような結論を得た。 1)水セメント比一定の場合、遠心力を利用して製造した粒形の良い砕砂Aを用いると同一スランプ(8±1cm)を得るための単位水量を、従来の砕砂Bを用いた場合より約20kg/m3減少でき、また海砂の50%を砕砂Aで置き換えることによって同一単位水量で川砂に近いスランプが得られ、砕砂Aによる流動性の改善が認められた。 2)粒子形状が良い砕砂A、川砂を用いると、所要のスランプを得るための単位水量を減少できるにも拘わらず、ブリージング率は大きくなった。しかし、単位水量を減らし、水セメント比を小さくすることによってブリージングを著しく改善できた。 3)粒子形状の良い砕砂Aを用いたコンクリートの圧縮強度はW/C=50%以上では、粒子形状の悪い砕秒Bを用いた場合より全体的に小さくなり、さらにW/C=60%では約30%低下した。 4)粒子形状の良い砕砂Aを用いたコンクリートの引張強度はW/C=50%以下の場合、粒子形状の悪い砕秒Bの場合と同程度であった。しかし、同一圧縮強度における引張強度では、粒子形状の良いもの程大きくなり砕砂Aの場合は砕砂Bの場合より約0〜10%大きくなり、低強度コンクリート程その差は顕著に現われる。 5)以上のことより、粒子形状の良い細骨材を用いる場合、所要の単位水量を大幅に減少できるので、水セメント比を小さく設定することによってコンクリートの品質を著しく改善できる。
PDFファイル名 011-01-1003.pdf


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