種別 論文
主題 各種FRPロッドの斜め引張特性に関する実験的研究
副題
筆頭著者 丸山武彦 (日本コンクリート工業)
連名者1 本間雅人(日本コンクリート工業)
連名者2 岡村甫(東京大学)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
11
1
先頭ページ 771
末尾ページ 776
年度 1989
要旨 はじめに
この数年、鋼材のような腐食をおこさないコンクリート用補強材として、高強度で軽量な炭素繊維あるいはアラミド繊維などの新素材を用いた、繊維強化プラスチックス(FRP)の棒材の開発と応用に対する関心が高まっている。これらのFRPロッドをRCあるいはPCの主筋として利用する研究は盛んに行われており、ロッドの付着性能の改善方法の面から大別すると、FRPを格子状に成形する方法、組紐状あるいはより線状に縮む方法、表面に繊維を巻き付けて異形の凸部を構成する方法などに関するものである。一方、FRPを主筋のみではなく、せん断補強筋としても積極的に利用することも考えられる。既往の研究によると、スターラップとして使用したFRPがせん断破壊する場合があること、鉄筋と同様の設計法では補強効果が十分ではないことなどの問題点も報告されているが、FRPのせん断性状に関する研究はまだ非常に少ない。そこで、本研究ではFRPをコンクリートはりのスターラップとして利用する場合を想定し、はりに斜めひびわれが発生した以後にFRPが受け持つせん断力をモデル化し、FRPが斜め方向に種々の角度で引張力をうける場合の耐荷性状について実験的に検討したものである。
結論
本研究の実験条件の範囲で得られた結論をまとめると次のようになる。 (1)コンクリートに埋め込まれたFRPロッドが、ひびわれを介して斜め方向の引張力を受ける場合、その引張抵抗力は著しく低下する。 (2)FRPロッドの斜め引張に対する抵抗力は、斜め方向に引張る角度に比例して低下する。 (3)斜め引張抵抗力は繊維の種類によって相違し、低下する割合が最も大きかったのは炭素繊維であり、つぎにアラミドおよびガラス繊維の順であった。 (4)角度30°で斜めに引張った場合の強度は、炭素繊維では引張強度の約30%程度、アラミド繊維では約45%、ガラス繊維では約65%程度に低下した。 (5)斜め引張強度が角度に対して一次関数的に低下すると仮定した場合の低下率係数は、炭素繊維のプルトルージョンタイプで2.3、より線で1.9、アラミド繊維で1.9、ガラス繊維で1.3であり、鉄筋の場合のほぼ0に比較して大きな差があった。 (6)より線タイプの炭素繊維FRPロッドの場合のように、同じ繊維を用いてもその製造方法や形状寸法を変えることによって、斜め引張強度の低下割合を改善できる可能性がある。 本実験では、FRPロッドをはりのスターラップとして使用する状態をモデル化しているが、荷重や拘束の条件等が実際のはりの状況に合わない事が考えられる。したがって今後は、コンクリートはりにおけるFRPロッドの静的、および動的なせん断耐荷機能についてデータを十分に蓄積する必要がある。
PDFファイル名 011-01-1131.pdf


検索結果へ戻る】 【検索画面へ戻る