種別 論文
主題 有限要素法によるコンクリートのひずみ軟化解析
副題
筆頭著者 伊良波繁雄(琉球大学工学部)
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キーワード
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先頭ページ 387
末尾ページ 392
年度 1989
要旨 はじめに
引張破壊によるひずみ軟化を有限要素解析に取り入れる方法として、仮想ひびわれモデルがある。仮想ひびわれモデルでは構成則として、図一1に示すようなひびわれ面に垂直な応力σnとひびわれ幅Wの関係で表している。引張破壊によるひずみ軟化を考慮して解析を行う時は、有限要素法を用いてひびわれ面でσn−W関係を満たすようにひびわれ面に棒要素を用いる方法とひびわれ面の開口変位と結合力間の撓性方程式に基づく応力法がある。棒要素を用いる方法は要素境界に長さが0の要素を入れるために変位の自由度が増加し全体剛性マトリックスの大ききも増加する。このために、予めひびわれの発生が予想されるような要素境界のみに棒要素を配置方法が行われている。撓性方程式を用いる方法も同様に、予めひび割れの発生が予測できる場合に有効である。しかし、任意の荷重や任意形状の鉄筋コンクリート構造物に応用する時にはひび割れの発生を予測するのは困難である。このために、本報告ではひび割れの発生が要素境界のみに限定されているけれども、どの要素境界でも容易にひび割れの導入が可能な解析手法について述べる。二次元ハイブリッドストレスモデルを用いて、塑性条件式が要素境界に垂直な応力とせん断応力の関数の時の弾塑性剛性方程式を求める方法は前報に示してある。仮想ひび割れモデルを用いるときのひずみ軟化では、降伏曲面がひび割れ幅の増加に伴って縮小するので、塑性条件式の中に応力のみならずひび割れ幅も入ってくる。このために本報告では、この塑性条件式をハイブリッド型コンプリメンタリエネルギーの原理にラグランジェの末定乗数法で導入し、ひずみ軟化を考慮にいれた弾塑性剛性方程式を導いた。数値計算例としては、一次元の問題として棒要素を用いた引張破壊の問題を解析し、ひずみ軟化曲線の降下部の勾配の大きさ、弾性係数、要素の大きさによっては数値計算上不安定になることを示した。そして、これらの計算結果の考察からひずみ軟化の解析を安定して行うための方法を明かにした。この方法を二次元問題にも適用し、六郷らの行ったCT試験体の実験のシュミレーションを行ったところ、本報告で示している解析方法は良い精度を示すことが分かった。
まとめ
本報告では、仮想ひび割れモデルを仮定したときのひずみ軟化則を直接にハイブリッド型コンプリメンタリエネルギの原理に導入する方法を示した。この方法から得られる弾塑性剛性方程式を用いれば、ひび割れを要素境界に発生させることが容易であり、棒要素を用いる方法のように新しい節点を必要としないので全体剛牲マトリックスの大ききも増加することはない。捧要素と三角形平面要素を用いて、棒のひずみ軟化解析を行った結果、要素の大きき、弾性係数とひずみ軟化曲線の勾配によっては数値計算上不安定になる。不安定の内容は発散とみかけの硬化であるが、5.1で示したように発散は、ある一点だけで起こるので、発散は滅多に起こらないといえる。しかし、みかけの硬化は棒やCT試験体のひずみ軟化解析にみられるように、軟化曲線の勾配が大きい時、要素が大きいときはいつでも起こりうる。みかけの硬化が起こったときの計算手法は荷重増分の方向を逆にすることである。このような方法でCT試験体のひずみ軟化解析を行ったところ、ひび割れ面での応力とひび割れ幅の関係はひずみ軟化則を満たすことを確認した。また、得られた荷重−開口変位曲線もほぼ実験値に一致する。
PDFファイル名 011-01-2064.pdf


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