種別 論文
主題 圧縮力を受ける組積プリズムの破壊挙動に関する解析的研究
副題
筆頭著者 村上雅英(近畿大学理工学部建築学科)
連名者1 窪田敏行(近畿大学理工学部建築学科)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
11
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先頭ページ 609
末尾ページ 614
年度 1989
要旨 はじめに
圧縮力を受ける組積プリズムは、充填コンクリートと組積単体の剛性とポアソン比の相違により、複合構造物特有の複雑な力学的挙動を示す。圧縮ひずみの増加に伴い、組積単体が充填コンクリートの横方向の膨張を拘束するため、充填コンクリートは3軸圧縮応力状態となり、その圧縮強度は1軸圧縮強度よりも高くなる。そこで、文献1では、組積造プリズムの圧縮強度を推定する際に用いる充填コンクリートの圧縮強度には、3軸圧縮応力状態における圧縮強度の上昇を考慮する必要があることを実験的に示した。実験で観察された圧縮力を受けるプリズムの最大強度以後の破壊形式は、充填コンクリートの圧壊による耐力低下ではなく、充填コンクリートの膨張を拘束していた組積単体の破壊により拘束力が急激に低下し、それに伴い充填コンクリートの圧縮強度が急激に低下する脆性的な破壊であった。したがって、充填コンクリートの圧縮強度を正確に推定することが、プリズムの圧縮強度を推定する際に最も重要な間題となる。すなわち、充填コンクリートの圧縮強度を推定するためには、(1)充填コンクリートに作用する拘束力の算定、(2)充填コンクリートに作用する拘束力と圧縮強度の関係、(3)ウェブの存在や、そのために生じる打設直後の沈下により生じる初期ひび割れなどの欠陥が圧縮強度に与える影響、(4)打設直後の組積単体の吸水による充填コンクリートのW/C比の減少などを定量的に評価しなければならない。そこで本論文では、図−1に示すようにOR3Jシリーズと図−1のa-a´で切断した半巾の組積単体を用いたHB3Jシリーズの実験結果の理論的解釈を行うことを目的として、2次元有限要素法を以下に述べる手法により工夫して、平面圧縮ひずみを受けた場合のポアソン効果による組積プリズムの力学的挙動を解析した。さらに、計算結果と実験結果を比較検討し、解析方法の妥当性を論じた。
まとめ
圧縮力を受ける組積プリズムの力学的挙動を、以下の方法で3次元立体間題から2次元平面ひずみ問題に近似した有限要素法を用いて解析した。本解析で得られた知見を以下に示す。(1)圧縮力を受ける組積プリズムの力学的挙動は、図−2に示す方法でZ軸方向のひずみを平面保持と仮定し、ポアソン効果により生じるX-Y平面内の応力を2次元平面ひずみ問題に近似した有限要素法を用いて解析的にほぼ表現可能である。(2)X-Y平面内でフェイスシェルとウェブに生じる変形に関しては、純引張変形成分の方が曲げ変形成分よりもかなり卓越している。一方、閉鎖型空洞部に充填されたコンクリートは圧縮ブレースとして組積単体より圧縮拘束力を受けており、その値はブレース内で7〜8kgf/cm2である。(3)充填コンクリートの引張破壊はフェイスシェルとウェブの接合部の隅角から生じることが解析的に明らかとなり、実験結果と一致した。(4)HB3Jシリーズのように解放型の空洞部分のみからなる組積単体を用いたプリズムの圧縮強度の推定に際しては、組積単体の拘束による充填コンクリートの強度の上昇を考慮してはならないことが本解析からも明らかになった。(5)閉鎖型空洞部と開放型空洞部では、圧縮拘束力の分布は図−8のように異なる。以上、本論文では解析方法の妥当性と解析結果を用いて実験結果の解釈を行ったが、今後は、文献1で提案した推定式の理論的裏付けを本解析を用いて行う必要がある。
PDFファイル名 011-01-2102.pdf


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