種別 論文
主題 流動化剤と増粘剤のコンパティビリティーに関する研究
副題
筆頭著者 河井徹(清水建設技術研究所)
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キーワード
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先頭ページ 37
末尾ページ 42
年度 1990
要旨 はじめに
ヴァイブレータによる締固めが不要なコンクリートに関する研究が、近年さかんに行われている。たとえば、締固めが不可能な箇所への施工を目的としたコンクリートの研究として特殊水中コンクリートや軽量コンクリートの研究が挙げられるほか、施工の合理化や品質向上などの目的で、密な配筋状態でも充分な充填性を確保できるコンクリートの研究などが挙げられる。それらは、いずれも高い流動性を確保するために、流動化剤あるいは高性能AE減水剤を混入して、学会の流動化コンクリートの施工指計で規定されている上限スランプを越えた範囲まで流動化させている。また、それに伴って生じる材料分離を抑制するためにセルロース系の増粘剤を使用しているのが実情である。特殊水中コンクリートでは、セルロース系の増粘剤を主成分とした混和剤が主に使用されている。しかし、それらのセルロース系の混和剤にはメラミン系の流動化剤しか使用されていないと報告されている。その理由としては、使用する流動化剤の種類により、セルロース系の増粘剤と流動化剤とのコンパティビリティー(適合性)の良否が相違するためであると推定されている。しかし、セルロース系の増粘剤とナフタリン系の流動化剤とを一緒に使用している報告もあり、両者の適合性に関しては現象面での報告はあるものの、そのメカニズムや定量的な検討結果の報告は皆無である。そこで、筆者はセルロース系の増粘剤とナフタリン系およびメラミン系の流動化剤との適合性を調査する目的で数種の実験を行った。つまり、その不適合性の現象とメカニズムを明確にするとともに、その不適合性が生じない限界値を定量的に求める試みを行った。本論文は、それらの実験結果と考察に関して報告するものである。
結論
(1)増粘剤HPMCを主成分とした特殊水中コンクリート用混和剤AをA/W=0.455%〜1.36%混入したコンクリートにナフタリン系の流動化剤NSを混入すると、NSの混入率の増加に伴って、空気量の大幅な増加、凝結時間の大幅な遅延が認められ、NS/C=0.5%を越えると流動性が逆に低下し始める。そのため、流動化剤の混入率をNS/C=0.25〜0.5%以下にして、消泡剤を適当量増加する必要がある。また、使用用途により強度、凝結時間、耐久性等の検討も必要である。(2)HPMCを溶解したアルカリ溶液にNSを添加すると、HPMC/W=0.4%以上の混入率では、ゲル状物質(コンプレックス)が生じることが目視され、溶液の粘度が大幅に増加する。これが、流動化剤NSの混入率が一定値を越えると流動性が低下し始める現象の原因であると考えられる。(3)HPMC/Wが0.1%程度以下であれば、NS/C=5%以下の時には、流動化剤の混入率の増加の伴い流動性は増加し、空気量の増加も1%程度で収まる。つまり、大きな不適合性は生じないと判断される。
PDFファイル名 012-01-1004.pdf


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