種別 論文
主題 高強度コンクリートの一軸圧縮応カ-歪に関する実験的研究
副題
筆頭著者 八木敏行(不動建設技術開発室)
連名者1 森浩之(不動建設技術開発室)
連名者2 石丸麟太郎(香建築事務所)
連名者3 末永保美(横浜国立大学工学部)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 197
末尾ページ 202
年度 1990
要旨 はじめに
我が国では31mを超える高層建築物を鉄筋コンクリート造で設計する場合、コンクリートの塑性域での応力と歪の関係を考慮した終局強度型の設計が一般的に行なわれている。この場合に使用されるコンクリートの設計基準強度は現在のところ270〜480kgf/cm2程度となっている。終局強度型の設計を行なう際に常に問題となるのが、曲げ部材の終局時における圧縮域のストレスブロックのモデル化である。既往の実験を総合すると、すでに圧縮強度170〜800kgf/cm2のコンクリートについて一軸圧縮時の応力下降域を含んだ完全な応力度-歪度の関係曲線(以下、σ-ε曲線と呼ぶ)が報告されている。ただし、これらの実験に使用されだ試験装置および試験方法は研究者が各々開発したものであり、試験方法としては現在まで一般化されていないのが実状である。また、σ-ε曲線のモデル化は梅村式、六車式をはじめとして数多く発表されているものの未だ定説とされているものはない。特に、高強度コンクリートについては先ほど述べた通り試験方法が一般化されていないことや、塑性域での破壊状態が不安定となることなどのため、一つの提案式が必ずしもすべての実験とよい適応を示すとは言い難い状況である。ところで、実際の設計においては、ストレスブロックのモデルと一軸圧縮試験で得られたσ-ε曲線が多少違っていても、ストレスブロック係数がほぼ等しければ実用上問題はなく、この意味においてACI式は実用に即した平易な式となっている。筆者らは、円柱供試体(直径150mm、高さ300mm)を用いて200tfアムスラー型万能試験機による一軸圧縮試験を行い、水セメント比、骨材および養生条件が高強度コンクリートの物性に与える影響を調べた。同時に、コンプレッソーメータを用いてσ-ε曲線を測定し、既往の代表的なモデルの形状およびストレスブロック係数との比較を行った。さらに、仮定断面に対して実験値と各モデルを用いて曲げ終局時の中立軸比、断面抵抗モーメントを算定し、どの提案式がより実用的な設計式となり得るかを検討した。
まとめ
(1)コンクリートの物性実験で得られた圧縮強度240〜860 kgf/cm2のコンクリートの基本的な物性は既往の実験報告とほぼ同じ傾向を示している。ヤング係数や圧縮強度時歪度はやや高い値を示している。圧縮強度と圧縮強度時歪度の関係については、今回の実験の範囲内で平均値の信頼区間と回帰式を示した。(2)試験方法本実験で使用した200tf万能試験機の剛性は60〜70ton/mm程度と思われる。そこで、円柱供試体の寸法を直径150mm、高さ300mmから直径100mm、高さ200mmへ小さくした場合、N360、N420の最大負勾配時の剛性は45〜70ton/mm程度に低くなると思われ、高歪域でのσ-ε曲線の測定が可能になるものと期待される。ただし、L360やN600、N800の最大負勾配時の剛性は70ton/mm以上になると思われ、応力下降域でのσ-ε曲線の測定を行うには供試体の寸法をさらに小さくするか、あるいは高剛性試験機を使用する必要があるものと考える。この問題については今後の研究課題としてゆくつもりである。(3)ストレスブロック係数と曲げ終局耐力実験値と各提案式から得られるσ-ε曲線の形状やストレスブロック係数k1k3、k2の値が多少違っていても中立軸比Xn1、断面抵抗モーメントmはよく一致している。また、日本建築学会のRC構造計算規準に示されている梁の曲げ終局強度略算式より求めたmともよく一致しており、実用上はどの提案式を用いてもあまり問題にならないことを示している。
PDFファイル名 012-01-1032.pdf


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