種別 論文
主題 高強度多孔質セメント硬化体に関する研究
副題
筆頭著者 米澤敏男(竹中工務店技術研究所)
連名者1 古賀吉則(竹中工務店技術研究所)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
12
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先頭ページ 383
末尾ページ 388
年度 1990
要旨 はじめに
セメント系材料の軽量化を目的に多孔質のセメント硬化体が従来から建設材料として使用されてきた。現場打設の気泡モルタルや工場製品であるALC板などがその例である。これらの材料は構造二次部材として使用されるのが通例であり、強度よりも軽さに主眼が置かれてきた。したがって、その圧縮強度は、せいぜい100〜150kg/cm2程度であった。しかし、高性能減水剤やシリカ質微粉末のような最近のセメント硬化体の高強度化技術をベースにすれば、多孔質のセメント硬化体であっても相当に高強度のものが得られる可能性がある。そうだとすれば、コンクリート等の構造用セメント硬化体の軽量化をさらに進展させ、強度と軽さのバランスを向上させる可能性も生まれてくる。従来、気泡モルタル等多孔質セメント硬化体の強度は、ほぼ空隙の量により定まると考えられてきた。この研究は、マトリックスを高強度化した多孔質セメント硬化体の強度と空隙量の関係とともに強度を支配している諸要因を調べ、乾燥収縮と中性化についても検討を加えたものである。
結論
この研究により得られた結論を以下にまとめる。(1)多孔質セメント硬化体の強度は、空気量の増加とともに低下するが、空気量40〜50%位までは水結合材比によっても影響を受ける。(2)水結合材比を25%とした場合、空気量30%のモルタルでも700kg/cm2に近い圧縮強度が得られ、かなり高強度の多孔質セメント硬化体が実現される可能性がある。(3)水結合材比を25%程度に小さくすると、同じ空気量でも強度は相当広い範囲に分布する。これは多孔質セメント硬化体の強度が気泡等の空隙組織の構造に強く影響されるためである。(4)多孔質セメント硬化体の強度を上げるためには、気泡の形状を球形に保持すること、気泡どうしの結合を抑制することや水の分離による空隙の発生を抑制すること等により空隙組織を良好にすることが大切である。気泡の大きさを小さくすることは、この研究の範囲では必ずしも有効ではない。(5)水結合材比25%程度の多孔質セメント硬化体の乾燥収縮は、空気量を30%位まで増加してもほとんど増加しない。(6)水結合材比25%程度の多孔質セメント硬化体は、空気量を30%位まで増加しても中性化深さの増大は小さく、気泡を導入していない水結合材比50%の供試体よりもはるかに小さい中性化深さを示す。
PDFファイル名 012-01-1065.pdf


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