種別 論文
主題 塩化ナトリウムの混入がモルタルの諸性状に及ぼす影響
副題
筆頭著者 宇野祐一(ショーボンド建設技術研究所)
連名者1 小林一輔(東京大学生産技術研究所)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
12
1
先頭ページ 465
末尾ページ 470
年度 1990
要旨 はしがき
塩化ナトリウムがコンクリート中に導入されるのは、一般に海砂を細骨材として使用した場合、または稀な例として海水を練り混ぜ水としてコンクリートに使用した場合である。塩化ナトリウムがコンクリートの練り混ぜ時に混入されると、先ず塩化物イオンとナトリウムイオンに解離するが、このうちセメント重量の約0.4%に相当する量の塩化物イオンがFriedel氏塩として固定化されると言われている。しかし、これを越える量の塩化物イオンは細孔溶液中に存在し、鉄筋の不動態皮膜を破壊して鉄筋を腐食に対して無防備状態にする。一方、ナトリウムイオンはそのほとんどが細孔溶液中に存在し、細孔溶液の水酸基イオン濃度を高める役割をすると言われているが、Friedel氏塩として固定される塩化物イオンとの関係についてはほとんど明らかにされていない。本論文は、塩化ナトリウムを混入したモルタルの細孔溶液の水酸基イオンならびに塩化物イオン濃度の変化を、水酸化ナトリウムおよび塩化カルシウムを混入したモルタルのそれと比較検討し、その結果得られた新しい知見をとりまとめたものである。また、塩化ナトリウムの混入がモルタルの圧縮強度、細孔構造ならびに炭酸化に及ぼす影響についても水酸化ナトリウムと対比して明らかにしている。
結論
本実験の結果を要約すると以下のようになる。1)塩化ナトリウムならびに塩化カルシウムなどの塩化物を混入した場合にFriedel氏塩による塩化物イオンの固定化を考慮に入れることが必要であるが、両者が細孔溶液に及ぼす影響は異なる。塩化ナトリウムを添加した場合には、塩化物イオンの固定化量が多い程、細孔溶液の塩化物イオン濃度が減少し、水酸基イオン濃度が上昇する。このことは、海砂などからの塩化物量が同じであれば、単位セメント量の多いコンクリートにおいて細孔溶液のpHが上昇することを意味し、アルカリ骨材反応の影響を受けやすくなることを示している。また、塩害の観点からは、何れの塩化物においても単位セメント量の少ないコンクリートにおいて細孔溶液中の塩化物イオン量が多いことになり、鉄筋腐食が起りやすいと言える。また、アルカリ量の高いセメントを用いた場合にその固定化能力が減少し、細孔溶液中の塩化物イオン量が増える。この事実は、塩害に関して考慮されるべきである。2)塩化ナトリウムを添加した場合には、水酸化ナトリウムと異なり、圧縮強度を低下させるようなセメント硬化体組織の多孔質化がほとんど認められない。3)塩化ナトリウムを添加した場合には、水酸化ナトリウムのと同様に炭酸化が著しく促進される。この理由は、細孔溶液のpHが上昇するためであるが、塩化ナトリウムの場合には、この炭酸化と塩化物イオンの両者の影響で鉄筋腐食が更に促進される可能性がある。
PDFファイル名 012-01-1079.pdf


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