種別 論文
主題 電気化学的手法によるコンクリート中の鉄筋腐食評価
副題
筆頭著者 横田優(四国総合研究所土木技術部)
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キーワード
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先頭ページ 545
末尾ページ 550
年度 1990
要旨 はじめに
近年、コンクリート構造物の耐久性を検討する上で塩化物イオンによる鉄筋腐食が大きな問題となっている。こうした事例ではコンクリート中の鉄筋の腐食状態を把握することが極めて難しいことから、腐食による鉄筋軸方向のコンクリートひび割れの発生あるいは錆汁の流出によって初めて問題とされることが多く、これがさらにある段階まで進行すると有効な補修や補強が困難な状態に陥ることが多い。したがって、構造物の維持管理上から、できる限り早期に-例えば、外観上は全く異常が認められない時点に-コンクリート中の鉄筋腐食を非破壊的に腐食モニタリングする技術が強く望まれている。そこで、本実験では、塩化物イオンを含んだコンクリートの水セメント比(以下、W/Cという)およびかぶり厚さが、ひび割れのないコンクリート中の鉄筋腐食に及ぼす影響を検討するとともに、腐食モニタリング法として電気化学的手法のうち自然電位測定法と分極低抗法の一つである交流インピーダンス法を取り上げ、その有用性について検討した。
まとめ
(1)海水浸漬による外部からの塩分浸透量(全塩分)を分析した結果、水セメント比が小さく単位セメント量の多いコンクリートほど塩分浸透量が少なく、防食性能が優れていることが確認できた。(2)室内促進腐食試験暴露後の腐食減量を測定した結果、水セメント比とかぶり厚さがコンクリート自身の防食性能に大きな影響を持つことが確認できた。また、鉄筋軸方向のひび割れは、かぶり厚さ3cmでは、腐食減量が40mg/cm2程度と極めてわずかな腐食生成物により発生することが認められた。(3)自然電位と腐食面積率および腐食減量との関係から、自然電位値のみから正確な腐食程度は診断しがたいが、鉄筋が腐食しているか否かの推定には利用可能である。今回の実験範囲では、促進腐食試験暴露前の自然電位が-200mV(vs S.C.E.)以上であったのに対し、暴露後の電位は全て-250mV以下を示しており、腐食量が大きいほど、自然電位は卑な値を採る傾向が認められた。(4)分極低抗の逆数と実測された腐食量から求めた腐食速度との関係から、分極抵抗は腐食速度・腐食量を知る上で有力な指標となることが確認できた。なお、今回の実験範囲では、分極抵抗値から腐食速度への換算係数、K値は0.033Vであった。(5)以上より、自然電位測定と分極抵抗法(交流インピーダンス法)を組み合わせることにより、より迅速で精度の高い鉄筋腐食モニタリングが可能との見通しが得られた。
PDFファイル名 012-01-1093.pdf


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