種別 論文
主題 鉄筋を腐食させたRCはりの劣化状態と耐力について
副題
筆頭著者 山住克巳(鉄道総合技術研究所)
連名者1 宮本征夫(鉄道総合技術研究所)
連名者2 佐藤勉(鉄道総合技術研究所)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
12
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先頭ページ 557
末尾ページ 562
年度 1990
要旨 はじめに
鉄道におけるコンクリート構造物は建設時の歴史を辿るとわかるように、海岸付近、山岳地帯にも多く建設され、これらはまた、厳しい環境にさらされているものも多い。また、東海道、山陽、東北、上越の各新幹線では大量のコンクリート構造物の出現を見た。これらのコンクリート構造物は、程度の差こそあれ、材料、設計、施工に起因する耐久性の問題を抱えていることも事実である。筆者らは、国鉄時代からコンクリート構造物の耐久性、維持管理に関して現場の実構造物の調査を通じて、その健全度、供用性の把握につとめてきた。コンクリート構造物の耐久性はコンクリート中の鉄筋の腐食に負うところが大きく、補修、補強、取替えの重要な判断指標である。この点に着目した調査研究はこれまでにも数多く報告されているが、鉄筋が腐食した場合のRCはりの耐力については、あまり変わらないとするものや幾分低下するとするもの等があり、どのような要因が耐力に影響を与えるかは定かではない。そこで、所定のひびわれを導入後暴露して塩水を撒水し、鉄筋の腐食による軸方向ひびわれを発生させたRCはり供試体について、撒水開始後17ヶ月経過した時点で、コンクリート中の塩分量、鉄筋の腐食状態等の供試体の劣化状態を調査するとともに静的載荷試験ならびに疲労試験を行って、供試体あるいは鉄筋の劣化状態が曲げ耐力および疲労性能に与える影響を検討したものである。
まとめ
本試験の範囲で得られた結論をとりまとめると以下のとおりである。(1)引張鉄筋に沿った軸方向ひびわれは、塩水を撒水した面よりも反対側の面の方に発生した供試体が多い。これは、含有塩分量の分析の結果から、塩分がコンクリート中を浸透して下方に蓄積されたためと考えられる。(2)鉄筋の腐食率も撒水面よりも反対面の方が大きく、腐食率が2%を超えた面に軸方向ひびわれが発生していた。また、鉄筋の面では供試体の下面側の面の腐食が進んでいるが、これはコンクリート打込み時のブリージング等の微細な欠陥の影響があるものと考えられる。(3)鉄筋の腐食はひびわれ位置付近の進行が早く、ひびわれ部をアノード部としひびわれ間をカソード部としたマクロセル腐食が認められた。また、錆を取り除いた面は複雑な凹凸を示し、局部的な孔食が発生していた。(4)鉄筋が腐食して軸方向ひびわれが発生した供試体の耐力は健全なものより低下し、鉄筋の腐食率が大きいほど低下の割合も大きく、鉄筋の腐食率よりもはりの耐力の低下率が大きい。これは、載荷時の軸方向ひびわれの観測結果から、鉄筋とコンクリートの付着力の低下が一因と考えられ、耐力評価にあたっては腐食による鉄筋の断面欠損のみならず軸方向ひびわれによる鉄筋とコンクリートの付着低下等を考慮する必要があるものと考えられる。(5)鉄筋に孔食等の断面欠損部があると一般に応力集中が起るといわれており、本試験の結果からも腐食して断面が欠損している鉄筋の疲労強度は著しく低下するおそれがあるものといえる。
PDFファイル名 012-01-1095.pdf


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