種別 論文
主題 高性能AE減水剤によるコンクリートの耐久性向上に関する研究
副題
筆頭著者 飛坂基夫(建材試験センター)
連名者1 笠井芳夫(日本大学生産工学部)
連名者2 飯塚正則(花王)
連名者3 水沼達也(花王)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 651
末尾ページ 656
年度 1990
要旨 はじめに
コンクリートの配(調)合設計の方法には、大別して1)必要な強度が得られるように定める場合と2)必要な耐久性が得られるように定める場合の2つの方法がある。しかし、実際の配(調)合設計は、必要な強度を求める方法で行われる場合がほとんどである。近年、コンクリートの中性化・塩害並びにASRによるコンクリート構造物の早期劣化が大きな社会問題となっている。中性化及び塩害による構造物の早期劣化の原因としては、施工精度や材料の選定などの他にコンクリートの配(調)合設計時に耐久性に関する品質が十分配慮されていないこともその一つと考えられる。配(調)合設計時に耐久性に関する品質が考慮されない原因としては、多様な用途に対応した耐久性のコンクリートを作る技術が確立されていないこと、及び耐久性に基づいて配(調)合設計を行う場合の指針が十分でないことによる。筆者らは、高性能減水剤を用いたコンクリートの耐久性に関する一連の実験研究を行い、広範囲の水セメント比のコンクリートの耐久性に関する品質を明らかにしてきた。最近、スランプロス低減形の新しい高性能AE減水剤が開発され、高層共同住宅などに多用されているが、これらの混和剤を用いたコンクリートの耐久性に関する系統的な研究は少ない。本研究は、スランプロス低減形の高性能AE減水剤を用いた広範囲の水セメント比のコンクリートについて各種耐久性試験を実施し、これらの混和剤を用いて耐久性に優れたコンクリートを製造することが可能なことを明らかにすることにより、耐久性からコンクリートの配(調)合設計を行う場合の基礎的資料を得ることを目的とした。
まとめ
本研究の結果、明らかになったことをまとめると以下のとおりである。1)水セメント比の低下に伴って、耐凍結融解性、中性化、塩素イオンの浸透に対する抵抗性、水密性などコンクリートの耐久性に関する品質が大幅に向上する。2)乾燥収縮率は、水セメント比にかかわらずほぼ一定であるが、乾燥初期における収縮率はW/C=35%以下の場合大きくなる傾向が認められた。3)水セメント比の低下に伴って、総細孔量が少なくなり、ペ一スト組織がち密になっていることが推測される。4)総細孔量と耐凍結融解性、中性化、塩素イオンの浸透に対する抵抗性、水密性などコンクリートの耐久性に関する性能との間には良い相関関係が認められた。従って、総細孔量の少ないコンクリートを製造することが、コンクリートの耐久性を向上させる上で重要であることが明らかとなった。以上述べたように高性能AE減水剤を用いて低水セメント比としたコンクリートは、組織がち密になり、耐久性に関する品質を大幅に向上させることが可能である。また、コンクリートの耐久性に関係する品質と総細孔量との間には良い相関関係が認められ、総細孔量を指標とすることによりコンクリートの耐久性の評価を行うことが可能と考えられる。今後は、養生条件などを変化させたコンクリートについても同様の実験研究を実施し、養生条件の影響も含めた総細孔量と耐久性の関係についても検討を行い、所要の耐久性を得るためのコンクリートの配(調)合設計を行うために必要な基礎的データの蓄積を進めたい。なお、本研究と同じコンクリートを用いた供試体により、透気性、走査顕微鏡による観察並びにX線解析なども実施中であり、これらを含めた検討を別の機会に報告する予定である。
PDFファイル名 012-01-1111.pdf


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