種別 論文
主題 混合セメントペーストのスケーリング劣化に及ぼすCMAの影響
副題
筆頭著者 藤井卓(函館工業高等専門学校)
連名者1 藤田嘉夫(北海道大学工学部)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
12
1
先頭ページ 669
末尾ページ 674
年度 1990
要旨 まえがき
融氷塩散布などの塩分環境において凍結融解作用をうけるコンクリートの劣化は極めて著しく、また下水処理、植生への影響などコンクリート以外における被害の可能性も憂慮されている。したがって低害あるいは無害な融氷剤の開発が、さし迫った重要課題として提起されており、米国においては無塩素融氷剤としてカルシウム・マグネシウム・アセテート(CMA)が使用されている。CMAの各種の影響評価については、Hsu、Ernstらなどの現場試験の成果があるが、いずれも融氷効果、摩擦低抗、貯蔵性能など、主として施工面からのマクロなアプローチである。なおコンクリートへの影響については筆者らの研究がある。普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートの凍結融解劣化に及ぼすW/C、AE剤混和、溶液種類などの影響については、既に多くの研究がなされているが、普通ポルトランドセメントよりも水和反が遅いフライアッシュセメントや高炉セメントなどの混合セメントを用いたコンクリートの融氷剤散布下での凍結融解劣化については、まだ十分に明らかにされていない。本研究は、混合セメントを用いたコンクリートの、凍結融解作用によるスケーリング劣化に及ぼすCMAの影響を明らかにすることを目的に、マトリックスとしての硬化セメントペーストに、無塩素系融氷剤CMAおよびNaCl、CaCl2などの塩素系融氷剤の溶液中において凍結融解作用を与え、CMA溶液の場合のスケーリング劣化に及ぼすセメントおよび融氷剤の種類などの影響を、微構造、硬度およびCa(OH)2の溶出などとの関連において検討したものである。
まとめ
本研究においては、混合セメントペーストのスケーリング劣化に及ぼす無塩素系融氷剤CMAの影響を、塩素系融氷剤NaCl、CaCl2との比較において、微構造の形態、硬度およびCa(OH)2の溶出などとの関連において検討した。まとめは以下のとおりである。(1)CMAの場合のスケーリング劣化は、OPC、FAC、BSCのいずれにおいても、NaClと同程度かそれよりも大きかった。(2)いずれの融氷剤溶液においてもFACの劣化が最も大きく、BSCが最も小さかった。(3)FACの劣化が最も大きいのは、フライアッシュ粒子が粒界破壊し易いのが一因と考えられる。(4)BSCの場合、養生直後におけるCa(OH)2生成および融氷剤溶液中におけるCa(OH)2の溶出は、OPCはもとよりFACよりも少なく、これがBSCの劣化が小さいことの一因と考えられる。(5)Ca(OH)2の溶出は、OPC、FAC、BSCのいずれにおいてもCMAの場合が最も大きく、スケーリング劣化が大きいことと対応している。(6)CMA溶液の場合、表層部がMg(OH)2の生成により緻密化するが、その直下に生成する多孔部が破壊源となると考えられる。以上のことから、塩素系、無塩素系のどちらの融氷剤を使用する場合でも、BSCを用いたコンクリートがスケーリング劣化に対して有効的であると言える。
PDFファイル名 012-01-1114.pdf


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