種別 論文
主題 寒冷期に施工するマスコンクリートの温度履歴と強度発現に関する研究
副題
筆頭著者 桑原隆司(清水建設技術研究所)
連名者1 西田朗(清水建設技術研究所)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
12
1
先頭ページ 897
末尾ページ 902
年度 1990
要旨 はじめに
寒冷期に行うコンクリート工事は、初期凍害の防止、早期強度の確保、保温養生等の検討を要し、常温時の施工とは異なる点が多い。特に、低温時に所定の材令で強度を確保するために、土木学会ではポルトランドセメントの使用を標準としており、また日本建築学会でも強度発現が遅れる低熱型セメント等を用いることは得策ではないとされている。一方、マスコンクリートの施工においては、構造体が水和熱による温度履歴を受けるため強度発現が一般のコンクリート構造体の場合とは大きく異なる傾向を示し、さらに水和熱による温度ひびわれに関する検討を要する場合がある。温度ひびわれの防止策の一つとして高炉セメント等の低熱型セメントの使用が有効であり、一般には強度増進が遅いとされる低熱型セメントもマスコンクリートに使用した場合は比較的早期での強度発現が期待できるものと考えられる。しかし、寒冷期に施工するマスコンクリートの温度履歴や強度発現に関しては不明な点が多く、特に低温環境下では強度発現が遅れるため一般の構造体には適さないとされる低熱型セメントを使用したマスコンクリートに関するデータはほとんど見られない。そこで、本研究では寒冷期に施工するマスコンクリートについて、普通ポルトランドセメントと低熱型の高炉セメントを使用した場合の温度特性と強度特性を把握し、これらのセメントを使用した場合の施工上の留意点を検討した。
まとめ
寒冷期に施工するマスコンクリートの温度、強度管理を目的として、普通ポルトランドセメントおよび高炉セメントC種を使用して実験を行った。本研究の範囲で得られた結果から寒冷期に施工するマスコンクリートの施工上の留意点をまとめると以下の通りである。(1)普通ポルトランドセメントを使用する場合は、部材寸法により最高温度に達する材令が異なるため、部材内部の温度勾配を極力小さくするよう型わく取り外し時期の決定やその後の保温養生に注意が必要である。(2)低熱型の高炉セメントを使用する場合は、部材表面部では温度上昇がほとんど見られないため初期養生を入念に行うことが必要となるが、長期材令まで強度発現が期待できるため工期に余裕のある場合はその適用が有効となる。(3)構造体強度の管理については、普通ポルトランドセメントの場合は標準水中養生強度は材令28日程度まで安全側の推定を行っており、それ以降の材令では若干危険側の推定を行う可能性がある。一方、低熱型の高炉セメントの場合は、部材内部の強度が標準水中養生強度を大きく下回る可能性が高いので、判定には部材の温度履歴も考慮する必要があるものと思われる。(4)常温時のデータを基に部材の強度推定を行う場合、普通ポルトランドセメントを使用したコンクリートでは強度発現と積算温度がよく対応しているが、低熱型の高炉セメントを使用する場合は部材が受けた温度履歴により強度発現に差が見られるため積算温度を用いた強度推定には補正が必要となる。なお、具体的な補正方法については今後の研究課題となる。
PDFファイル名 012-01-1155.pdf


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