種別 論文
主題 プレストレストコンクリート用FRPロッドの静的および動的疲労特性
副題
筆頭著者 魚本健人(東京大学生産技術研究所)
連名者1 西村次男(東京大学生産技術研究所)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
12
1
先頭ページ 1019
末尾ページ 1024
年度 1990
要旨 はしがき
新素材の開発にともない、各種の新素材を利用する方法に関して様々な研究が実施されている。コンクリートの分野においても、厳しい塩分環境下における鉄筋コンクリートやプレストレストコンクリート構造物の鋼材腐食が大きな問題となっている今日、従来使用されている鉄筋やPC鋼材の代わりに、腐食を生じない繊維補強プラスチック材(FRPロッド)を利用する方法が注目されている。中でも、FRPロッドをプレストレストコンクリート用緊張材として用いる方法については、わが国でも1984年以降小林らの研究結果が発表されており、その利点、問題点、対策等の多くについてはすでに明らかにされている。FRPロッドは複合材料であり、同じFRPロッドと呼ばれているものであっても、その品質は使用する補強繊維の種類、繊維混入率、樹脂の種類等によって異なったものとなる。FRPロッドをプレストレストコンクリート用緊張材として使用する場合には、種々の条件を満たすことが必要であり、例えば何十年という長い年月の間高い引張応力下におかれ、また、これらのプレストレストコンクリート構造物は、常時自動車等の繰り返し荷重を受けることになる。以上のことを考慮すると、FRPロッドをPC用緊張材として使用するためには、このロッドの諸特性を十分把握した上で利用することが大切で、安易に使用して後で問題が生じたりしないようにすることが肝要である。そこで、本研究ではFRPロッドが長期間の使用に耐えられるか否かを明らかにすることを究極的な目的として、各種繊維で補強されたFRPロッドの静的疲労試験(持続荷重下に於ける破壊性状)および動的疲労試験(変動荷重下における破壊性状)を実施し、その特性を明らかにするとともに載荷期間中のAE計測を行った。
まとめ
本研究では、FRPロッドをプレストレストコンクリート用緊張材として用いるための基礎実験としてロッドそのものの静的および動的疲労特性を明らかにするためにAE計測を含めた検討を実施したが、FRPロッドをPC用緊張材として実用化するためにはさらに多くのことを検討する必要があるといえよう。本研究で用いたFRPロッドについて明らかになったことをまとめると以下の通りとなる。1)FRPロッドの静的引張応力-変形曲線は、ほぼ直線で近似することができ、塑性変形は認められない。2)FRPロッドの破壊までのAE特性から、載荷時におけるCFRPとGFRPは載荷応力が小さい段階から局部破壊が進行しており、AFRPでは最終破壊近くになって急激な破壊の進行が生じているものと考えられる。3)高い応力の持続引張荷重を与えた場合のAE測定結果から、FRPロッドの「静的疲労破壊」は生じていないと考えられるが、「クリープ破壊」が生じておりPC用緊張材としてFRPロッドを用いる場合には、このような破壊が生じない条件を明らかにすることが必要である。4)応力振幅を一定にして動的疲労荷重を与えたAFRPロッドの試験結果から、175kg/mm2(静的強度の87%)から160kg/mm2(80%)の範囲では、載荷上限荷重と破壊までの載荷回数はほぼ直線で表示することができるが、疲労限界はまだ明らかでない。5)FRPロッドの破壊時の挙動を把握するためのモニタリング方法として、AE計測はひずみゲージとは異なった情報を提供できる。
PDFファイル名 012-01-1177.pdf


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