種別 論文
主題 トラス型ジベル付合成床版の耐カに関する研究
副題
筆頭著者 浜田純夫(山口大学)
連名者1 兼行啓治(山口大学)
連名者2 半田剛也(住友建設)
連名者3 米田俊一(宇部興産)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 59
末尾ページ 64
年度 1990
要旨 まえがき
近年の交通荷重の量的増加により、わが国の道路橋は過酷な供用下におかれている。この為、既設橋梁の破損、特に鉄筋コンクリート床版の損傷が増えてきており、その補修、架替えにはできる限りの急速施工が要求されている。またその一方で、既設の主桁の力学条件、取付道路との関係、架設地点の自然条件などの面から死荷重や桁高が大幅に制限される場合が多く、なおかつ拡幅によるきびしい力学条件が課せられる場合も少なくない。こうした実状から、軽量で力学特牲に優れ、工期の短縮化、省力化が可能でかつ経済値に富む橋梁や床版構造の開発、実用化が強く望まれている。型枠を兼用した鋼板上にコンクリートを打設し一体化した、いわゆる鋼・コンクリート合成版構造は、上記の諸条件を満たす合理的な構造形式として着目されており、現在いくつかの合成床版や床版橋が、各メーカーにおいて開発され、実用に供されている。また、合成版には鋼板を埋殺し型枠として用いる被覆型合成版と、鋼板を鋼断面とする鋼製型枠合成版とがあり、トラス型ジベルを用いたものには後者が多い。本研究に於ける立体トラス型ジベルを有する合成版とは、図-1に示されるように、強度部材と型枠を兼用する鋼板の上面にジベルを構成するフラットバーまたは丸鋼と圧縮鉄筋をワーレントラス状に組んで溶接し、その上にコンクリートを打設し合成、一体化したものである。また、トラス模様に鋼板をくり抜き、底板に溶接してトラス型ジベルとして使用することもできる。鋼材の加工および溶接作業はすべて工場で行い、架設現場では、この立体トラス構造の剛性を利用して型枠、支保工を省略してコンクリートを打設することができる。又、新設プレキャスト床版としてもトラス型ジベル付き合成版はかなり有効な部材であると考えられる。本研究は、種々の力学特性と施工性(短縮化、省力化)に優れ、かつ多用な構造への適用性に富む立体トラス型ジベル付き合成版構造の開発とその実用化を目的とし、合成床版橋への適用を想定して、コンクリート打設後の主にプレキャスト部材としての力学特性について、はり供試体による曲げ載荷試験を実施し、検討するものである。また、床版自重のさらなる軽量化を計り、石炭灰系人工軽量骨材を粗骨材として用いたものも実験対象とした。本研究に使用した石炭灰系人工軽量骨材は、産業廃棄物の石炭灰を原料とし、石炭灰中に含まれている残存未燃焼炭分の自己燃焼を利用したもので、コスト的にはかなり安価なものである。本研究では、この石炭灰系人工軽量骨材の基本的な材料試験等を行い、その性質を把握した上ではりの試験に使用したものである。前述の立体トラス型ジベル付き鋼板が構造的な軽量化であるのに対し、材料的な軽量化を目的とするものであるが、普通コンクリートに比べて若干引張強度、せん断強度が劣るのも事実である。このことから、合成版においても軽量コンクリート使用の場合にはせん断耐力が低下することが考えられる。さらに、合成版のせん断耐力についてはその研究も少ないことから、本研究では主に合成版としたときのせん断耐力について実験・研究を行ったものである。
まとめ
本研究に用いた人工軽量骨材は、従来のものに比べかなりの低吸水率となっており、品質的にも安定しているものである。また、コンクリート圧縮強度に関しては、普通コンクリートと同様にC/W比より算定でき、高強度にも十分耐え得る。ただし、引張強度に関しては、普通コンクリートより10〜20%低くなる傾向がある。トラス型ジベル付合成板の曲げ耐力に関しては、コンクリート標準示方書の式で十分である。くり抜き鋼板型においては、軽量コンクリートの場合でも示方書の1.5倍程度の曲げ耐力を得た。トラス型ジベル付合成板のせん断耐力に関しては、示方書の耐力以下であったため、既述の様なせん断耐力式が提案できる。これらを用いると、軽量コンクリートを用いた合成版も普通コンクリートと同様に適用することが可能である。
PDFファイル名 012-01-2008.pdf


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