種別 論文
主題 SM58Qを用いた鉄骨鉄筋コンクリート柱の終局曲げ耐力及び曲げ変形性状
副題
筆頭著者 南宏一(大阪工業大学)
連名者1 上原広(大阪工業大学)
連名者2 大塚穣(清水建設)
連名者3 山本昇(川崎製鉄)
連名者4  
連名者5  
キーワード
12
2
先頭ページ 71
末尾ページ 76
年度 1990
要旨
日本建築学会の鉄骨鉄筋コンクリート構造計算規準(SRC規準と略記する)では、使用鉄骨の材質の上限をSM53と規定している。すなわち、SM53までの鋼材では、それを用いたSRC部材の力学的特性が概ね解明されているためである。それに対して、55キロ級以上の鋼材を用いたSRC部材は、その使用実績や研究資料が十分に蓄積されておらず、SRC構造への適用には、累加強度式の適用性などの解明されなければならない問題が多い。しかしながら、近年では都市空間の有効利用のため、建築物は高層化、大スパン化されており、これらの要求に対応する一手段として高強度の鋼材を使用する要望が高まっている。このような杜会的要望に対して、社団法人鋼材倶楽部に、「SRC造への高張力鋼適用に関する調査研究委員会」か設けられ、1985年より3年間の計画で主に60キロ鋼で、その降伏比が0.9という高張力鋼を用いたSRC構造に力学的特性について、実験的、理論的に検討され、基礎資料が整備された。近年、60キロ鋼でかつ低降伏比(Y=0.80)を持つ鋼材SM58Qが生産可能になり、このような低降伏比の60キロ鋼を用いたSRC部材の力学的性状を把握することの必要性が生じてきた。そこで本研究は、SM58Qを用いたSRC柱の終局曲げ耐力及び曲げ変形性状の把握を研究項目に絞り、SM58QをSRC構造へ実用化する上での問題点を検討するものである。
結論
SM58Qを用いたSRC柱試験体4体に繰返し曲げせん断を与える実験を行い、その破壊性状、終局耐力、曲げ変形性状に関して以下の知見を得た。(1)一定軸力を受ける内柱試験体では、相対部材角R=0.0075rad.付近で最大耐力に達し、その値から得られる、限界断面を柱材端にあるものと仮定した断面耐力は、一般化累加強度式によって求められる終局曲げ耐力値と一致する。最終的な破壊状況は、曲げ引張破壊であり、靭性に富み優れた塑性変形能力を有する。(2)外柱試験体では、変動軸力のため、その破壊状況および履歴性状は非対称である。圧縮軸力時では、R=0.0075rad.付近で最大耐力に達し、曲げ圧縮破壊性状を呈した。一定軸力柱と同様にして求めた最大耐力は、一般化累加強度式による終局曲げ耐力値に一致する。高軸力(N=0.6Nuc)においても曲げ耐力が発揮され、R=0.015rad.まで変形能力が確保された。引張軸力時の最大耐力は、理論終局曲げ耐力値より幾分高く、変位振幅が増大してもその耐力は低下せず、靭性に富んだ破壊性状が示された。(3)SM58Qを用いたSRC柱の曲げ耐力の計算に対して、限界断面が材端にあると仮定してその耐力を求めると、一般化累加強度式による手法は安全側である。しかしながら、その断面耐力に言及すると、一般化累加強度式は過大評価する傾向にある。
PDFファイル名 012-01-2010.pdf


検索結果へ戻る】 【検索画面へ戻る