種別 論文
主題 鉄筋コンクリート純フレーム構造の地震応答変形量に関する研究
副題
筆頭著者 渡辺明紀(清水建設)
連名者1 壁谷澤寿海(横浜国立大学)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 137
末尾ページ 142
年度 1990
要旨 はじめに
近年、建築構造設計の分野において許容応力度設計法から終局強度設計法への移行が世界的趨勢となっており、日本でも建築学会から「鉄筋コンクリート造建物の終局強度設計型耐震設計指針(案)」(以下指針(案))が提案されている。この指針(案)による設計法の特徴的な点は、梁降伏型の全体降伏機構を設計当初に設定し、設計で想定する大地震に対して、(1)ヒンジ部で構造物として必要な強度(必要保有水平耐力)を確保する、(2)ヒンジ部の靱性を保証する、(3)全体降伏機構を実現するために非ヒンジ部の強度を確保する、等の目標を明確に設定して、具体的な手法を提示していることである。この中で、ヒンジ部の靱性設計では、部材の塑性変形能力が地震時に予想される応答変形を充分上回るように規定され、その目標として「保証変形」の概念が導入されている。ただし、その絶対値(あるいはその算定法)を規定するのは、現段階では困難であり、便宜的に部材種別等に応じて一定の値が設定されている。しかし、構造物あるいは部材の応答変形量がそれぞれの建物あるいは部材で異なるのは明らかであり、配筋等に応じた部材の靱性(塑性変形能力)を定量化することとともに、応答変形量(必要靱性)を精度よく特定することは、指針(案)による設計法の課題として残されている。本研究は、終局強度設計法により設計された鉄筋コンクリート純フレーム構造に関して、動的あるいは静的非線形解析結果を「モード分解」することによりその一般的な性質を捉えて、静的解析に基づいて層レベルでの動的な応答変形量を推定する方法を検討したものである。
結論
設計用外力分布の異なる2つの純フレーム構造の地震応答解析を行い、変形および外力分布をモード分解して検討した結果、以下のことが明らかになった。(1)建物TIとTPでは応答変形の分布が異なる。すなわち、梁の高さ方向の強度分布(設計用外力分布形)と応答変形分布は密接な関連がある。(2)設計で用いた水平外がと同じ分布で静的非線形解析をおこなうと、変形モードは建物によらずほぼ同じような分布になる。(3)動的解析から抽出した建物TIとTPの変形の基準モードは互に異なり、最大応答値は(絶対値は異なるが、2次モードに近い)同様の分布の変動分をこれに加えたものになっている。(4)静的非線形解析を繰返して慣性力が適合するように算定した基準モードは、動的な基準モードに必ずしも適合せず、下層の変形角が過大に評価される。(5)動的解析から抽出した建物TIとTPの外力の基準モードは、弾性時あるいは相対加速度の基準モードと異なり、必ず重心が上に移動した分布になる。この外力分布を用いると、静的解析でもTIとTPの基本モードの差を説明できる。(6)動的な外力分布の重心が上に移動するのは、塑性領域において相対加速度と絶対加速度の位相に相関があるためである。この分布は、入力加速度からほぼ特定できるものと考えられる。(7)以上の性質を利用して、応答変形の分布を意図したもの(例えば一定の応答変形分布)を設計する降伏機構設計用外力の設定も可能であると思われる。
PDFファイル名 012-01-2021.pdf


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