種別 論文
主題 耐震壁フレーム構造の地震時変形性状
副題
筆頭著者 芳村学(東京都立大学)
連名者1 神永敏行(東京都立大学)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 143
末尾ページ 148
年度 1990
要旨 はじめに
1988年に日本建築学会より刊行された鉄筋コンクリート造建物の終局強度設計に関する指針(案)(以下「指針案」)では、終局時の建物の降伏機構が梁降伏による全体降伏形(ただし、1階柱脚部、耐震壁脚部および最上階柱頭部には降伏を許す)となるよう計画され、地震入力エネルギーが建物全層にわたる多数の梁端ヒンジにより吸収・消費されるような設計が行われる。このような「全体降伏形」の降伏機構を実現するうえで、脚部曲げ降伏型の連層耐震壁を含む建物(耐震壁フレーム構造)は、特定の層での層降伏を確実に防止できる点から、フレーム構造より有利となる。また、耐震壁フレーム構造では、耐震壁脚部降伏後の建物の変形性状が主として耐震壁の剛体的な回転により規定されるため、終局時の建物各層の層間変形角あるいは各階梁の変形が、フレーム構造の場合より均一化される傾向にある、といわれている。従って、このような建物では各階の梁耐力を近づけることにより、各階の梁端ヒンジによるエネルギー消費量をほぼ等しくすることができる。すなわち、耐震壁フレーム構造では、全体降伏形を保証できるだけでなく、全ての梁端ヒンジにほぼ同量のエネルギーを吸収・消費させるような設計が可能となる、ところに特徴がある。以上のような設計は、「地震入力エネルギーの分散」のうえから有利であるほか、梁の断面や配筋を均一化することができることから、施工上も有利となる。本研究は、以上のような点で構造形式上有利と考えられる耐震壁フレーム構造について、その地震時の変形性状について検討するものである。研究は骨組の静的および動的弾塑性解析により行い、(a)建物に含まれる耐震壁数、(b)高さ方向の梁耐力分布、をパラメータとして、これらの違いにより建物の変形性状がどう変わるかについて検討する。
まとめ
耐震壁数の違いおよび梁耐力分布の違いをパラメータとした耐震壁フレーム構造の地震時の変形性状を検討した結果、以下のことが明らかになった。(1)耐震壁フレーム構造の変形性状は、耐震壁の存在する割合(耐震壁数)に大きく影響される。(2)耐震壁数が多い場合には層間変形角はほぼ一定となる。しかし、耐震壁数が減るにつれて層間変形角はバラツキの大きい分布となる。(3)梁耐力を均一化すると、層間変形角は耐力を増大させた層で小さくなり、逆に減少させた層で大きくなる。この傾向は耐震壁数が多い場合にはわずかであるが、減るにつれて顕著になる。(4)静的外力を受ける場合に比べて動的外力を受ける場合には、層間変形角のバラツキは大きくなる。この傾向は耐震壁数が多い場合にはわずかであるが、減るにつれて顕著になる。(5)耐震壁数が多いほど、層間変形角に占める耐震壁脚部の回転の割合が大きくなり、脚部以外の部分の弾性変形の占める割合は小さくなる。
PDFファイル名 012-01-2022.pdf


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