種別 論文
主題 プレキャスト連層耐震壁の力学性状
副題
筆頭著者 吉田啓喜(竹中工務店)
連名者1 東端泰夫(竹中工務店)
連名者2 太田道彦(竹中工務店)
連名者3 野上邦宏(竹中工務店)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 527
末尾ページ 532
年度 1990
要旨 まえがき
近年、建設業においては熟練労働者の不足が深刻であり、高品質な製品の確保が困難となりつつある。このような問題点を克服する手段の一つとして、RC建物躯体のプレキャスト化が考えられる。高層集合住宅においては、現在プレキャスト構工法の一つとしてHPC構法が採用されている。その際、プレキャスト耐震壁に注目すると、従来から鋼板ブレース内蔵型のものやシャー筋等を併用したRCコッター型で構成されているものが多い。しかしながらこの構法を用いた場合、周辺骨組との接合部の複雑さや、施工性・プレキャスト製作工期等に問題があり、より一層の省力化が要求されている。本研究は、接合法や施工における種々の合理化を計り、施工性・生産性・耐震性に優れたプレキャスト耐震壁を開発することを目的としている。プレキャスト耐震壁をRC化する場合、上階から下階へのせん断力伝達のため周辺骨組やスラブとの十分な接合が必要である。筆者等は、すでに耐震壁脚部と現場打スラブとの間のせん断力伝達性状を把握するための実験を行い、壁板から突出する接合筋は斜め45°溶接格子型のものが耐力・履歴特性とも優れていることを確認している。これらの成果を踏まえて、本構法への対応を以下のように行った。(1)上階の梁と壁板とを一体化したプレキャスト耐震壁とする。(2)事前の確認実験により把握した下階スラブと壁板との接合法を採用する。(3)柱−壁板との接合は単純化し、シャー筋のみとし、柱−梁接合には鋼板を用いる。本報告は、実際の建物におけるプレキャスト耐震壁の形状・配筋および施工法を用いた1/3模型の試験体を製作し、水平加力による破壊実験を行い、在来構法によるRC耐震壁との性状比較とともに、接合部におけるせん断力伝達機構について検討した結果をまとめたものである。
まとめ
(1)3層試験体による耐震性能の比較により、本構法の力学的健全性がほぼ把握できた。(2)ひび割れ発生荷重、最大荷重等は各試験体ともほぼ同様な値を示したが、ひび割れ以後の二次剛性は、No.2が30%程度大きな値を示した。これは、壁筋が45°方向に配筋されているためと考えられ、この性状は既往の研究成果とも一致している。また、耐震壁の終局せん断耐力式により、最大耐力はほぼ把握できた。(3)壁板とスラブとのせん断力伝達用接合筋は、予想されたように、圧縮及び引張の軸力を負担している。しかし、壁長さ方向の配筋位置、階によって、その負担性状は異なっている.(4)壁板と柱とのせん断力伝達用シャー筋は、ダボ的にせん断力を伝達している。しかし、その絶対値は小さく全体性状に与える影響も小さいと思われる。(5)壁板と周辺フレームとのせん断力伝達についてはより詳細な検討が必要であり、今後プレキャスト耐震壁の設計法を確立するため引き続き検討して行く予定である。
PDFファイル名 012-01-2088.pdf


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