種別 論文
主題 コンクリート構造のひびわれ開口を抑制する効果
副題
筆頭著者 矢澤英治(東京都立大学大学院)
連名者1 寺島善宏(東京都立大学大学院)
連名者2 長嶋文雄(東京都立大学)
連名者3 山崎淳(東京都立大学)
連名者4  
連名者5  
キーワード
12
2
先頭ページ 777
末尾ページ 782
年度 1990
要旨 はじめに
コンクリート構造部材がひろがりをもっていて、応力やひずみが局部的に集中している場合、また、ひびわれの発生によって応力やひずみが解放される場合などに対しては、配筋にあたって、鉄筋がひびわれ開口を抑制する機構をも考慮して、局部に集中して配筋を行なうことが合理的のように思われるが、このような方法の力学的根拠はまだ明らかにされていないと思われる。壁、スラブ、マッシブな部材などの表面近くには、初期欠陥を生ぜしめない為、また、耐久性の為、乾燥収縮や温度勾配によるひびわれを制御するための配筋が行なわれる。配筋方法の一例としては、たとえば、壁やスラブに対して、鉄筋量をコンクリート部材の断面積に対する比率で規定するACI Codeによる方法などがある。このような方法は、形状、寸法、応力状態などが類似しておりかつ知られている場合について、経験と実績に基づいて決められていると思われるので、このような配筋方法をそれらとは異なった場合にも適用できる一般的法則とは考えられない。この研究は、上記のような場合の配筋方法の力学上の根拠を考察しようとするものである。構造物としてはスラブなどの平板、マッシブな構造を層状に打継ぐ場合の表層などを想定する。1本のひびわれは、無限の幅を持つくさび形とし、ひびわれ幅の変化は深さ方向にのみ考慮する2次元問題として扱う。ひびわれの間隔、ひびわれ面の形、ひびわれの幅と深さ、ひびわれを横切る鉄筋の応力、付着、鉄筋量、降伏点、ひびわれの成長が安定か不安定か、ひび割れ面を含む周辺領域の応力場、コンクリートの時間依存ひずみを考慮した有効弾性係数などの、現象と影響要因の間の関係を考察の対象とする。
まとめ
上記の方法により、設計基準などによって配筋され、収縮の条件があたえられた構造物に対し、スラブの深さ方向の2次元モデルを考慮する本研究の方法で予測されるひびわれの状態は、クリープなどを有効弾性係数で考慮した解析を行うことによって得られた結果は、実際の場合に経験され、知られている挙動に関する諸値の範囲の値と思われる。これを考慮しない場合、高い応力、鉄筋の有無による効果の違いが認められなくなった。また、付着が理想的によいとした計算では、ひびわれの進行の途中、比較的深さの浅い段階で鉄筋の応力がかなり高くなることが示された。SD30程度では降伏してしまうが、その挙動の検討は今後の課題である。実験結果との比較も今後の課題であるが、実験の方法、測定すべき事柄などは多岐多様にわたる。実験の計画と方法をかためて行くために、数値シミュレーションを繰り返して行くことは、有用であると考えている。その上で、実際には3次元的であるひびわれの挙動を、どのように再現するかも直面する問題である。
PDFファイル名 012-01-2131.pdf


検索結果へ戻る】 【検索画面へ戻る