種別 論文
主題 コンクリート構造のトラスモデルによる視覚化
副題
筆頭著者 斎藤貴之(日本国土開発)
連名者1 矢澤英治(東京都立大学大学院)
連名者2 松岡一雄(日本国土開発)
連名者3 山崎淳(東京都立大学)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 795
末尾ページ 800
年度 1990
要旨 はじめに
1.1コンクリート構造の設計におけるモデル化の現状 コンクリート構造の設計においては、古くから、トラスモデルが、様々な構造部材や。部分構造のモデル化に用いられてきたが、その例としては、梁の曲げとせん断の抵抗機構を表すMorschのトラスモデルをはじめとし、梁のねじり抵抗を平面トラスからなる折板構造で表す方法、面内力を受ける板、ディープビーム、コーベル、プレストレストコンクリートの定着部の割裂力の評価などが挙げられる。土木学会コンクリート標準示方書には、構造物の形状、支持条件、荷重状態、および考慮する限界状態に応じて、トラスモデルに限らず、スラブ、梁、柱、ラーメン、アーシェルなど、「適切な解析モデルを設定」すべきことが述べられている。日本コンクリート工学協会では、有限要素法の適切な利用法をすすめるための研究も初められ、その場合も、モデル化が重要なテーマとされている、このような現状において、構造物のモデル化は、配筋の決定や、強度算定の基礎となっているが、モデルの方法の論理として依拠すべきものは確立されておらず、力学の知識の応用として、また、経験や直感により無意識的に行なわれる場合が多いと思われる。1.2目的とトラスモデルの利点 構造物の耐荷機構を視覚化すること、すなわち、構造物の内部の力を、ベクトルとして、大きさと方向で、かつ、出発点から終点まで連続した流れとして表現することは、設計と強度および安全性の評価において有用である。最新の科学技術手法であると見放されている汎用の連続体の有限要素法は、古典的方法である連続体力学、またそれを、形状や力学の場の特性に応じ一般論から縮退した形であるシェル、板、線材の理論によっているが、これらの表現では、その定式化の特性上、応力を流れと表現するのに適さない。さらに、構造解析を表現するために「適切な解析モデルを設定」出来るためには、予め構造物の応力場や変位場の特性を知っていなければならないという矛盾もある。トラスモデルは、有限要素モデルのひとつにほかならないから、その長所と限界をあわせもちながら、種種の実際的構造の耐荷機構を流れとして認識し表現するには、最も適していると思われる。また、トラスの単位構造ユニットをつくり、それをモジュールとして任意の形状の構造物や部分構造を構成すれば、応力場や変位場の特性を考慮せずに、構造モデル、解析モデルの基本形を得ることができる。材料特性の変化による耐荷機構の変化は、その基本形に対して、主に剛性の変更で対処出来ると思われる。ここでの目的は、トラスモデルにおけるトラス部材の配置方法、配向性、剛性、トラスモデルによる耐荷機構の視覚化の有効性、トラスモデルを用いて力学的に合理的な構造形式を形成するための論理、ならびに結果の視覚化の方法について考察するものである。
まとめ
(1)今回試みたような、トラスの単位構造ユニットから、平面構造や、シェル構造を構成し耐荷機構を視覚的に表現する方法は、力学の忠実度、結果の理解の効率ともほぼ適切なものが得られた。(2)視覚的表現のために、画素が400x600程度で、色が2種類であっても、パソコン画面の情報伝達力は質・量とも効果が大であった。(3)視覚的表現方法により、梁の挙動、配筋の合理性との関係、鉄筋コンクリートで鋼材で補強されている領域のひびわれ、付着劣化などによる剛性低下が耐荷機構を変化させる様子が示された。(4)構造物を力学的合理性によって形成する場合の論理の一例を示し、2次元構造としてのアーチ、3次元構造としてのH.P.シェルについて適用した。(5)3次元構造の耐荷機構の視覚的表現は、シェルなどの面構造においては、等角法、透視図法などが有効であるが、マッシブな構造の場合には、描画すべき部分の探索と選択、描画方法についての研究が更に必要である。
PDFファイル名 012-01-2134.pdf


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