種別 報告
主題 コンクリート構造物における流電陽極方式による電気防食法の実用化に関する試験
副題
筆頭著者 三田俊一郎(中川防蝕工業技術開発研究所)
連名者1 武藤一雄(中川防蝕工業技術開発研究所)
連名者2 井川一弘(中川防蝕工業技術開発研究所)
連名者3 加納伸人(中川防蝕工業技術開発研究所)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 517
末尾ページ 520
年度 1990
要旨 はじめに
最近、国内でもコンクリートの早期劣化が指摘され、社会的にも問題になっている。問題の早期劣化は塩害に代表され、その対策として、注目されている電気防食は、腐食環境の激しい場所や、コンクリート中に塩化物が含まれている状態でも防食が可能であることから最も有効な防食工法として期待されているが、わが国では、まだ試験施工の段階である。電気防食法には、外部電源方式と流電陽極方式があり、アメリカやカナダでの実施例は主として外部電源方式である。しかし、塩害環境下にあるコンクリート構造物は流電陽極方式の適用に有利な条件も多く、流電陽極の性能を保持することができれば、十分適用可能と考えられる。このため、流電陽極方式の実用化を目的とし、1)バックフィル(陽極性能保持材)の開発、2)供試体への適用、3)電気防食基準の検討、4)実構造物への適用、の試験を行なった。なお、これらの試験では、種々の環境下において使用され、良好な結果が多数報告されている亜鉛を流電陽極材として用いている。1)と2)については、既報において、安定した陽極性能を維持するためにはコンクリート・陽極界面に水分が保持されることが重要であり、その水分を保持することができる吸水性、保水性に優れたベントナイト系のバックフィルを開発したこと、および塩害環境下にあるコンクリート構造物を模擬した供試体に対して行なった屋外の電気防食試験でも、開発したバックフィルにより長期間、安定した陽極性能が維持されたことを報告した。引続き本報では、3)、4)の試験について得られた結果の概要を報告する。
まとめ
海水中の鋼材には流電陽極方式が一般的であるが、大気中のコンクリート構造物についてはアメリカでも数百の施工例があるにもかかわらず、主体は外部電源方式で流電陽極方式はわずか数例である。これは、一般に実環境におけるコンクリートは抵抗率が高く、防食電流が流れにくいため、流電陽極方式の適用は困難であるとの考えによるものと思われる。しかし、一連の試験の結果、コンクリート中の鉄筋の電気防食法として、流電陽極方式でも十分可能であることが確認された。これは、吸水性、保水性、の優れたバックフィルを使用したことと、防食対象部である構造物裏面が常時湿潤状態にあるためと考えられる。さらに鉄筋の電位等を長期にわたって追跡調査し、その効果や耐久性について検討する予定である。
PDFファイル名 012-02-1088.pdf


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