種別 報告
主題 RCプレキャスト床版を用いた合成桁斜張橋における膨張コンクリートの使用について
副題
筆頭著者 橘吉宏(川田工業中央研究室)
連名者1 前田研一(川田工業中央研究室)
連名者2 柳澤則文(川田工業中央研究室)
連名者3 梶川康男(金沢大学工学部)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 615
末尾ページ 620
年度 1990
要旨 まえがき
合成構造は、コンクリートと鋼のもつ特性を合理的に利用し、力学的挙動に加え経済的にも有利性がある構造であり、「第三の構造」として広く利用されるようになってきている。この状況下で、静岡県小笠郡菊川町にある民間企業の敷地内の連絡橋として、景観性の観点から斜張橋形式が選定され、その桁構造として合成桁が採用された。また、本橋における施工では工期短縮が課題とされ、本形式としてわが国で初めてRCプレキャスト床版が採用された。合成桁を斜張橋の主桁に用いる場合、設計に際して連続桁同様に床版に引張り応力が生ずることが間題となる。斜張橋では、ケーブル(斜吊材)によって桁に導入されるプレストレスで負の曲げモーメントへの対処が可能であり、この合成桁斜張橋形式は力学的にも優れた一構造形式として、海外においても最近脚光を浴びている。このような合成構造物が、供用期間中にその性能を発揮し続けるには、力学的性状はもとより構造材料自体の耐久性が必要である。合成桁構造では、RC床版のひびわれの発生に対処することが、疲労や鉄筋腐食の問題等に対し大きな検討項目であると考えられた。本橋の床版施工においては、RCプレキャスト床版ブロックを連続的に敷き並べた後、現場で鋼桁との合成および各ブロック間の接合が行われた。この現場打ち部の材料選定が、上記の観点からその施工とともにRC床版の耐久性に大きく影響するものと考え、膨張コンクリートおよび膨張材を用いたモルタル(以下「膨張モルタル」という)の使用を検討した。本文は、このRCプレキャスト床版を用いた合成桁斜張橋の概要を説明するとともに、膨張材を使用するにあたって実施した試験について報告するものである。
まとめ
プレキャスト床版を用いた合成桁斜張橋で、床版ブロック接合部と鋼桁との連結部に膨張コンクリートおよびモルタルの使用を検討し、施工前に試験を実施した。膨張コンクリートは、プレキャスト床版と現場打ちコンクリートとの材令差に起因する乾燥収縮度を補償する目的で使用が検討され、その配合にあたり、土木学会基準B法の試験を用いて膨張材量を決定した。また、決定された配合に対し、実構造模型による試験も実施し、上記の目的に対し十分な膨張性を有することを確認した。一方、膨張モルタルは、無収縮モルタルと同等の性能を持つ材料として使用が検討され、膨張材と減水剤とを併用して、所要の性能が得られることを試験により確認して採用が決定された。本文は、合成桁斜張橋床版部への膨張材の一使用例を報告したものであるが、膨張材の使用は、耐久性の向上に効果的であることが土木学会・コンクリート構造物の耐久設計指針(試案)でも明記されており、同様な箇所に膨張材を使用する際の一参考資料になれば幸いである。最後に、これらの一連の試験を実施するにあたり、多大な御協力および御指導をいただいた、日本セメント(株)、(株)ドーピー建設工業、ならびに大東コンクリート工業(株)の関係者の方々に心より深く感謝いたします。
PDFファイル名 012-02-1105.pdf


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