種別 報告
主題 80年間経過したコンクリート製港湾構造物の耐久性について
副題
筆頭著者 市川公一(横浜市港湾局)
連名者1 浅野泰史(横浜市港湾局)
連名者2 守分敦郎(東亜建設工業)
連名者3 飯田勲(東亜建設工業)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 639
末尾ページ 644
年度 1990
要旨 はじめに
コンクリート構造物の耐久性を検討する場合、既設構造物の劣化状態を知ることは大変重要なこととなる。長期間海洋環境下にさらされたコンクリート構造物としては、安政6年(1859年)の開港以来日本を代表する貿易港として、日本の経済文化に大きな役割を果してきた横浜港の岸壁が挙げられる。ここで検討した新港埠頭は横浜港の中心に位置し、明治33年〜明治44年頃に建設され、その後経済環境の変化や関東大震災、戦災等により改造、補修、撤去等の工事が加えられ、現在でも使用されている構造物である。従って、これらの構造物は約80年に渡って海洋環境下にさらされており、港湾構造物の劣化過程を知る上において最適な土木構造物となっている。本文においては、約80年に渡って築造および改修が繰り返されてきた「新港埠頭」の劣化調査をもとに、コンクリート製港湾構造物の耐久性について検討した結果を報告するものである。
おわりに
建造以来80年以上経過したコンクリート製港湾構造物の劣化調査を行なった結果、以下のことが理解された。1)新港埠頭の岸壁は、数回の改良・補修・補強が行われてきたが、コンクリート自身の劣化が原因となって行なわれた例は少ない様である。2)本調査の結果では、コンクリート製の重力式構造物においては経過年数が長くなるに従って、海水によるコンクリート表面の劣化や外力による角の欠け落ち、基礎の不等沈下によるひびわれの発生等が顕著な劣化として確認された。この様な構造形式の場合、塩害による鉄筋腐食等の劣化は多くない様である。3)桟橋形式の構造物においては、コンクリート中の塩素イオン濃度や中性化深さは重力式構造物に比較して顕著な違いが見られなかったにもかかわらず、塩害による鉄筋等の腐食が見られ、重力式構造物と異なる劣化形態を示すことが確認された。さらに、この様な構造物の劣化状況は使用者や管理者の目に直接触れ難く、管理の方法について十分な検討が必要であることが理解された。4)中性化深さや塩素イオン濃度は、コンクリートの品質(とりわけ水セメント比)に大きく影響を受けていることが確認された。今回の調査の結果、いずれの構造物においても現状での使用には耐えられることが確認されたが、長期的には補修・補強が必要と判断され、現在その方法について検討されている。
PDFファイル名 012-02-1109.pdf


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