種別 論文
主題 高流動コンクリートに関する基礎研究
副題
筆頭著者 三浦律彦(大林組)
連名者1 近松竜一(大林組)
連名者2 青木茂 (大林組)
連名者3 十河茂幸(大林組)
連名者4  
連名者5  
キーワード
13
1
先頭ページ 185
末尾ページ 190
年度 1991
要旨
近年、コンクリート構造物の大型化や高層化が進む中、コンクリート作業員の人員不足が顕在化し、コンクリート工事の省力化や合理化が、建設工事において最も重要な課題となっている。一方、コンクリートの超高強度化が進むにつれて、低水セメント比におけるコンクリートの粘性の増大が施工性を低下させる一因となることも指摘されている。このような背景から、最近では流動性を著しく高めたコンクリート(以下高流動コンクリートと呼ぶ)に関する研究が盛んに行われるようになってきた。これらの研究では、スランプフローを大きく設定し、適度の分離抵抗性を付与することで、流動性や充填性が改善できることが示されている。しかし、スランプフローのみでコンクリートの流動性の良否を評価しており、粘性の違いによるワーカビリチーの相違が検討されてはいない。一方、流動時の速度はコンクリートの粘性の違いにより大きく異なり、特に、ポンプやトレミーを用いたコンクリートの大量打設においては、打込み時間を左右する重要な要因となる。そこで筆者らは、コンクリートの流動速度に着目し、その定量化を目的とした新しい試験法を考案して、各種の配合要因が流動速度に及ぼす影響について実験的に検討を加えた。
結論
本研究で明らかになったことをまとめると以下のようになる。(1)コンクリートの流動性は変形ポテンシャルと流動速度で表現できるが、変形ポテンシャルを示すスランプフローが同じであっても、コンクリートの流動速度は配合要因の違いによる粘性の違いよって大きく異なる。(2)コンクリートの変形ポテンシャルは微粉末材料の種類や混入率の影響を受け、粒形や粒度の違いにより、変形ポテンシャルが最も大きくなるような最適な混入率が存在する。また、各種の微粉末材料を混合使用することにより、結合材全体の粒度分布が適正となり、コンクリートの変形ポテンシャルを著しく大きくできる。(3)単位結合材容積には、大きな変形ポテンシャルを得るために必要な最小値が存在し、この値は結合材の種類、単位水量、混和剤量、細骨材率によって異なる。(4)コンクリートの流動速度は微粉末材料の種類や混入率の影響を受けるが、粒形や粒度の違いにより、流動速度への影響の程度はかなり異なる。例えば、フライアッシュを40%混入することによりNPの約2倍に、また、フライアッシュ30%と高炉スラグ微粉末50%を混合使用することにより約2.5倍の速さとなる。さらに、シリカフュームを5%程度混入することにより、流動速度をNPの3倍まで速くすることが可能となる。(5)単位水量が一定の場合、流動速度を速くするのに最適な単位結合材容積や、細骨材率の最小値が存在する。また、同じスランプフローでも単位水量が多いほど流動速度は速くなる。(6)以上の要因を適正に組合わせることにより、変形ポテンシャルならびに流動速度が大きい高速流動コンクリートを製造することが可能である。一般に、コンクリートの配合は、強度、耐久性、施工性、経済性を考慮して定めることになっているが、本研究では流動速度という観点からコンクリートの施工性を再検討し、高速流動コンクリートの配合について有益な知見が得られた。今後は、高速流動コンクリートの配合要因と分離抵抗性という観点から、実際の施工条件に見合った検討を行なう予定である。
PDFファイル名 013-01-1028.pdf


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