種別 論文
主題 含水率分布にもとづいた乾燥収縮応力の評価
副題
筆頭著者 秋田宏  (東北工業大学)
連名者1 藤原忠司(岩手大学)
連名者2 尾坂芳夫(東北大学)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 403
末尾ページ 408
年度 1991
要旨 まえがき
乾燥により生ずる収縮応力は、収縮ひび割れの原因になり、曲げ強度の低下も引き起こすため、乾燥の各段階でそれを評価することは重要である。しかしながら、現状では、乾燥収縮による表面の引張応力がどの程度であるのか、またどの段階でひびわれが生じるのかなど不明な点が多い。これまでに、乾燥収縮応力を含水率分布と関連づけることにより評価した研究は多々あるが、得られた表面の最大応力は滝口らの0.8MPaから永松らの12MPaまでの広範囲なものである。このように、収縮応力の推定値に大きな差があるのは、対象とした材料の違い(普通コンクリート、若材令コンクリート、軽重コンクリート等)ばかりでなく、以下の2つの要因が重なっているものと思われる。(1)含水率分布の計算に於て、あるものは線形解析、あるものは非線形解析を用いており、物理定数の大きさ、計算モデル分別の大きさにも差がある。(2)応力解析においても、あるものは弾性解析、あるものは非線形解析を行っており、計算モデル分割の大きさにも差がある。また、実験的に収縮応力の大きさを調べた例として、田沢らは切込法により貴重なデータを得ているが、応力分布を断面内で放物線分布すると仮定したこと、含水率分布は線形解析によったこと等のため、十分なものとはいいがたい。本稿では、前報で述ベた水分移動解析で得られた相対含水率分布をもとに、乾燥過程で生じる収縮応力を計算と実験により調べその評価を行う。
まとめ
水分移動解析の結果を利用した弾性解析・リラクセーション解析・リラクセーションに加えヤング率低下を考慮した解析を行った。これらの解析結果から、次のようなことが知られた。(1)水分移動解析の結果に基づけば、乾燥の初期に表面近傍の含水率が急激に低下するため、弾性計算によった場合は、表面の引張応力が引張強度の10倍となり、現実的な結果が得られなかった。(2)リラクセーションに加え、引張変形に対するヤング率低下、引張塑性を考慮した計算では、表面の引張応力の最大は引張強度であり、乾燥50日の範囲では引張強度を取り続ける。また、乾燥収縮応力の程度を知るために、割裂時の応力開放で生じるひずみを実験および非線形解析で調べた結果、次のようなことが知られた。(3)断面の寸法が大きくなるにつれ割裂によるひずみが大きくなるが、本実験に用いた供試体寸法の範囲では、断面が大きくなるほど表面と内部の含水率の差が大きくなるためと思われる。(4)中心線上と底部隅角部では、底部隅角部の万が割裂によって生じるひずみが大きい。これは、隅角部の方が含水率が低いため大きな引張応力が働いており、割裂による変形時に受ける拘束も小さいためと考えられる。(5)割裂1に対するひずみの計算値は実験値に良く一致し、割裂2では実験値の2倍に近い値が得られたが、除荷過程で微細なひびわれが完全には閉じないのも原因の1つと考えられる。
PDFファイル名 013-01-1066.pdf


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