種別 論文
主題 高炉スラグ系混合セメントの水和熱およびコンクリートの温度上昇の推定に関する研究
副題
筆頭著者 田中敏嗣(日本セメント)
連名者1 下山善秀(日本セメント)
連名者2 富田六郎(日本セメント)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
13
1
先頭ページ 815
末尾ページ 820
年度 1991
要旨 はじめに
セメントの水和熱からコンクリートの温度上昇を推定する方法に関しては、これまでに幾つかの研究成果が報告されている。筆者らはこの方法の1つとして、水和温度とセメント発熱特性の関係を求め、水和反応の温度依存性を考慮したコンクリートの断熱温度上昇を推定する実用的な方法を提案した。しかし、セメントの量および種類の影響、実用的な入力データの設定に関する問題および推定精度の問題等があり、さらに種々のケースについて検討を行う余地が残されていた。本研究は、この方法を高炉スラグ系混合セメントの水和熱特性の評価およびコンクリートの温度上昇の推定に応用し、前記問題点について検討を加えたものである。また、セメントに混和するスラグ単体で発熱特性を評価できれば、任意のスラグ置換率のスラグ混合セメントの発熱特性を評価できると考えられる。そこで、スラグとポルトランドセメントのそれぞれの発熱特性から高炉スラグ系混合セメントの発熱特性を推定し、コンクリートの断熱温度上昇を推定する方法について検討した。
結論
本研究は、セメントの水和熱からコンクリートの断熱温度上昇を推定する方法を、高炉スラグ系混合セメントの水和熱特性の評価およびコンクリートの断熱温度上昇の推定に応用し、セメント量、セメントの種類の影響および実用的な入力データに関する検討、推定精度の向上について検討を行った。また、ポルトランドセメントとスラグのそれぞれの水和熱から高炉スラグ系混合セメントの水和熱を推定し、コンクリートの断熱温度上昇を推定する方法の検討を行った。本研究の範囲内で次の結論が得られた。(1)本推定法により、高炉スラグ系混合セメントを用いたコンクリートの断熱温度上昇の推定は可能である。(2)本推定法で履歴温度の設定方法が重要な要因であることが確認された。(3)計算に用いる使用材料の比熱に、骨材の場合一般的な値を、またセメントペーストの場合20℃における水とセメントの混合比から求まる計算値を用いて計算した場合、推定精度にはほとんど影響を与えない。したがって、実用的にはこれらの値を入力データとして用いることができる。(4)セメント量が多く反応系の温度が高くなる場合には、H0およびαの値をある温度(50℃)以上で一定として計算を行えば推定値が実測値とよく一致した。これより、今後20〜50℃以上の範囲におけるH0およびαと温度θの関係を把握する必要があると考えられる。(5)初期材令において推定値と実測値の間に若干の差が認められる場合があった。これは、セメントの混練状態がセメントの水和熱を測定する場合とコンクリートの場合では異なり、初期の発熱性状に相違のあることが原因と考えられる。今後、この点について検討が必要と思われる。(6)スラグ単体の発熱特性から高炉スラグ系混合セメントの発熱特性を推定し、コンクリートの断熱温度上昇を推定する方法は、全体の昇温傾向は比較的よく表現しているが、まだ推定精度にはいくつかの問題がある。今後さらに種々の条件でのスラグ単体の発熱特性の測定を行ない、推定精度を向上させる検討等が必要である。
PDFファイル名 013-01-1142.pdf


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