種別 論文
主題 中心軸圧縮力を受けるRC柱の安定・不安定を考慮した非線形モデル
副題
筆頭著者 石川雅美(東急建設)
連名者1 吉川弘道(武蔵工業大学)
連名者2 山本俊彦(東急建設)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
13
2
先頭ページ 97
末尾ページ 102
年度 1991
要旨 はじめに
中心軸圧縮荷重を受けるRC柱において、実験的に観察される終局状態は、必ずしもその全域に破壊が及んでいるとは限らない。これは、柱のコンクリートの一部分に局所化(Localization band)と呼ばれる破壊が集中する領域が形成されることに起因していると考えられる。破壊が一部分に集中する現象は、無筋コンクリートにおいては実験的に確認されている。例えば小坂らは、高剛性試験機を用いた一軸圧縮試験で、破壊が試験体の上半分に集中したことを示し、破壊領域と非破壊領域のそれぞれが応力〜ひずみ曲線上で別々のパスとなることを報告している。また、Z.P.Bazantは、局所化した領域とそうでない部分との間でエネルギーバランスを計算し、理論的な方法で一軸圧縮応力下にあるコンクリートの安定・不安定を判定し、その靭性評価を行っている。これまでRC柱において、その終局耐力を予測することは極めて難しいとされ、汎用性のある合理的な方法は未だ確立されているとは言えない。しかしながら無筋コンクリートにおいて蓄積された上述のような知見をRC部材に拡張すれば、RC柱の安定・不安定を判定し、さらには終局耐力を予測し得る可能性が開ける。本報は、Z.P.Bazantの提案した安定・不安定評価手法を、連続体力学で用いられる支配方程式を基に導出した著者らの非線形コンファインドモデルに組み込み、中心軸圧縮を受けるRC柱の安定・不安を予測することを試みたものである。
まとめ
連続体力学で用いられる支配方程式を基に導出した柱非線型モデルと、既往の実験結果との比較を行ったが、その結果、本モデルによる解析結果は、いずれの実験結果とも比較的良好な対応を示しているものと思われる。ここでは、軟化域の解析値がいずれの実験結果との比較においても低めの値となっているが、この理由は破壊に伴うコンクリートの体積膨張を考慮していないためである。ここでは示さないが、この影響をポアソン比を増大させるなどのかたちで考慮すれば、より実験結果に近い解析結果が得られることが確かめられている。しかしながら、構造不安定の予測に関しては、試験機(ばねCsの値)の剛性、Localization bandの幅など入力値として不確定なパラメータにかなり左右されることから、十分な結果を得るまでには至らなかったが、RC柱の靭性に寄与するものとして、経験的に知られている諸要因を定量的に評価し得た意味は大きいものと思われる。実験と解析との比較において強調しておきたいことは、これらの解析で用いた拘束係数はそれぞれの実験毎に定めたものではなく、全て同じ値を用いていることである。また、コンクリートの強度特性や鉄筋比などといった、ごく一般に用いられる値だけを入力パラメータとしていることも本モデルの特徴であり、汎用性のあるモデルを構築するうえでの方向性が示されたものと思われる。
PDFファイル名 013-01-2013.pdf


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