種別 論文
主題 RC浮体構造の設計方法に関する研究
副題
筆頭著者 西村政洋(名古屋大学大学院)
連名者1 田辺忠顕(名古屋大学)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
13
2
先頭ページ 109
末尾ページ 114
年度 1991
要旨 はじめに
浮遊式の空港、橋梁、発電所など大規模構造物の構想は10年以上前からなされてきており、それほど目新しいものではない。また、各種海洋構造物の施工段階において、浮遊状態となることも多い。こうした大規模浮遊式構造物は暴風雨時でも、船舶のように退避することができないため、事前に浮体に働く力を精度良く評価し、浮体の挙動を予測する必要がある。浮体に作用する外力としては、波力、潮流力、風力などが挙げられる。このうち、潮流力や風力については、抗力係数を用いて浮体が存在しない状態での流速あるいは風速の2乗に比例する量として比較的簡単に扱われるのに対し、動揺中の浮体に働く波力は、浮体運動と密接な関係があるため最も複雑で、通常、浮体表面上の境界条件を満たす境界値問題として扱われる。この境界値問題の解法には、多重極展開法、領域分割法、境界要素法、有限要素法などが提案されているが、それぞれに長所、短所を持っており、対象とする問題によって使い分けられている。通常の方法では、浮体は剛体として扱われ、サージ、スウェイ、ヒーブ、ピッチ、ロール、ヨウの6自由度の運動が考えられている。しかし、海上空港のような比較的薄くて広い構造物の波浪応答解析を行う際には、構造物の曲げ変形をも考慮する必要がある。そこで、本論文では、図−1に示す「浮上式プレストレストコンクリート製海上空港に対する構想」で提案された海上空港のような大規模浮遊式構造物の波浪外力算定への基礎的研究として、浮体を弾性体とし、鉛直方向の曲げ振動を考えた場合の有限要素法による線形解析を行う。通常の線形解析においては、Haskindの関係に基づいて、動揺浮体に作用する流体力は、固定浮体に作用する流体力と、静水中で浮体が6成分の正弦運動をする場合の流体力の重ね合わせとして求められるが、本論文では曲げ振動という、より自由度の大きい浮体運動を扱うため、両者を一括して波浪中で浮体が動揺する状態での解析を行う。また、無限領域の取り扱いは、Meiらによるハイブリッド法を用い計算効果を上げている。そして、最後にこの解析法と井島らによる領域分割法とを比較することにより、浮体の剛性が外力や動揺量に及ぼす影響について考察し、大規模構造物への適用について述べる。
結論
以上述べてきたごとく、本論文では曲げ変形を伴う浮遊式構造物の波浪中動揺に関する有限要素法の適用法を示した。これは、浮体をはり要素に分割し、流体の速度ポテンシャルを仮想境界の内部は有限要素法、外部は直交固有関数展開で表し、仮想境界上で連続条件を課して浮体と流体の未知量を連成させた連立方程式を解くことにより全ての未知量を求めるものである。以下、得られた主要な結論を要約して述べる。1)曲げ振動を伴う浮体の有限要素法解析の方法を提案した。2)浮体の曲げ剛性を高め剛体として扱うことにより、領域分割法とほぼ同様な鉛直方向動揺量を得る。3)剛性の低い構造物に短波長の波が入射する場合、構造物を剛体として動揺量を求めると、曲げ剛性を正しく評価し曲げ振動を考慮した場合よりも小さく見積ることになり注意が必要である。4)浮体の曲げ振動を考慮した場合の断面力とミューラーの式によって計算した断面力とを比較すると、波周期によって異なるものの、全般的にミューラーの式による計算値は小さくなる。したがって、ミューラーの式を用いる場合には注意が必要である。以上、超大形浮遊式構造物の設計の際に必要な、構造物の曲げ剛性を考慮した波浪応答解析の概要を述べた。今後は、i)水平方向振動、ii)係留系の影響、iii)3次元問題への適用などが重要と思われるので、これらについて引続き研究を進めていきたいと思っている。
PDFファイル名 013-01-2015.pdf


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