種別 論文
主題 鋼材の拘束を考慮した段階的積分法によるPC斜張橋のクリープ解析
副題
筆頭著者 石黒如(ドーピー建設工業)
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連名者5  
キーワード
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先頭ページ 121
末尾ページ 126
年度 1991
要旨 まえがき
近年、我が国の建設分野においても景観が重視されるようになり、これに伴って、PC斜張橋が飛躍的に増加してきた。しかし、PC斜張橋は、従来のプレストレストコンクリート橋と比べてはるかに高次の不静定構造である上に、コンクリート製の主桁・主塔と鋼製の斜材から成る複合構造でもあるため、クリープおよび乾燥収縮による断面力移行量の解析が特に重要な問題となる。その中の具体的な要因を列挙すれば、以下の通りである。1)荷重の作用時刻による遅れ弾性歪み係数の違い。2)部材の材令によるフロー歪み係数および乾燥収縮度の違い。3)コンクリートの弾性係数の経時的変化。4)鉄筋およびPC鋼材による拘束。5)クリープ進行中に繰返し起きる構造系の変化。本論文では、これらを総合的に評価するため、段階的積分法によるクリープ解析過程で鋼材の拘束とコンクリート弾性係数の変化を考慮することを前提に、変形法と同じ自由度を有するマトリックス形式の算式を誘導した。そして、これを幾つかの解析モデルに適用し、時間分割の間隔が計算精度に与える影響を調べることにより、時間間隔についての大まかな目安を得た。さらに、以上の結果を用いてPC斜張橋のクリープ解析を行い、その特性について検討した。
まとめ
本論文の解法は、段階的積分法によるクリープ解析において鋼材の拘束およびコンクリート弾性係数の変化を考慮し、さらに変形法による骨組構造解析と同じ自由度を持つマトリックス形式の算式を示した点に特徴がある。また、時間分割の間隔による影響についての検討結果は次の通りである。クリープ進行中に構造系の変化が繰返し起きる場合。Aging-coefficient法でも多くの計算ケースが必要なことを考慮すれば、本解法は実用性の点でも問題ないと言える。1)Δψf≒0.2程度の粗い時間間隔であっても、本解法による断面力移行量の解析結果が2%以内の誤差に納まっており、十分な計算精度を確保している。2)本解法では時間間隔を粗くするほどクリープ移行量を大きく見積もる傾向がある。3)コンクリートの弾性係数を一度と仮定すると、移行量を若干大きく見積もることになる。また、本解法をPC斜張橋に適用した結果からは、以下のことが言える。1)主桁の剛性が一定ならは、斜材の断面積が小さいほど移行量は大きい。2)2の結合条件は、剛結・ゴム支承・分離の順に移行量が大きいが、斜材剛性が移行量に与える影響は逆に小さい。また、ゴム支承のバネ定数が大きいほど、移行量も大きくなる。3)主桁鋼材量が変化したとき、応力度移行量のうちの不静定分の変動が特に大きい。前述の結果からも明らかなように、PC斜張橋におけるクリープによる断面力移行量は、荷重による断面力に比ベても、小さなものではない。設計思想としては、クリープによる移行量の影響が小さくなるような構造諸元や施工順序を選択するという方策も考えられる。しかし、そのためには、PC斜張橋の構造諸元等がその移行量に与える影響を、予め正確に把握しておく必要がある。このような場合に、本論文で示した解析方法は非常に有効であると考える。
PDFファイル名 013-01-2017.pdf


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