種別 報告
主題 膨張コンクリートを用いたマスコンクリートの施工
副題
筆頭著者 玉野富雄(大阪市)
連名者1 福井聡(日本下水道実業団)
連名者2 青景平昌(フジタ)
連名者3 広野三夫(フジタ)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 911
末尾ページ 916
年度 1991
要旨 はじめに
下水処理施設としてのポンプ場は、耐久的にも機能的にも極めて高い水密性が要求される大規模な地下構造物である。特に、地下水に接する底版及び側壁の設計と施工には、温度ひびわれを抑制するためにマスコンクリートとしての対応が要求される。この種の構造物がさらに大規模化し施工深度が大きくなるにつれ、施工時の温度ひびわれを制御するための知見を蓄積していくことが重要である。大阪市千島処理場の築造工事に際して、マスコンクリートの事前検討を行い、水和熱による温度応力を低減させるために発熱の少ない高炉セメントC種を使用するとともに、部分的に膨張コンクリートを打設して、膨張効果を現場計測によって調べたので、その結果を報告する。
まとめ
下水処理ポンプ場築造工事において、水和熱による温度応力の検討と計測を行ない、マスコンクリートとしての挙動とひびわれ対策としての膨張コンクリートの効果について定量的に検討して、以下の知見を得ることができた。(1)高炉セメントC種の一部を30kg/m3の水和熱抑制型の膨張材で置換した膨張コンクリートの断熱温度上昇量は、通常のコンクリートとほぼ同じ値を示し、膨張材の使用が温度上昇を助長する原因とならないこと、また膨張コンクリートの圧縮強度は、普通コンクリートの場合よりも大きくなっており、膨張材の使用が強度面で問題のないことが確認された。(2)膨張材による膨張ひずみは、温度上昇中の材令1.5〜2.0日までに急激に増大し、それ以降においても、その変化は小さくなるものの僅かな増加傾向が認められた。したがって、膨張効果の大部分は温度上昇時に発揮されるが、下降域においても或る程度の膨張は持続しているものと考えられる。(3)底版および側壁の膨張コンクリートの自由膨張量は、材令30日の時点で見ると、それぞれ約490×10-6と390×10-6であった。この膨張量の差は、主として鉄筋による拘束状態の差に起因しているものと考えられる。したがって、膨張材の効果を事前に予測するためには、外的な拘束のほかに鉄筋による内的な拘束の影響も把握しておくことが重要である。(4)底版は、隣接する先行打設底版、場所打ち杭(直径2.2〜2.8m)・床付地盤、連続地中壁等の外的拘束を受けるが、この状態での温度下降域の外部拘束度はK=0.2程度と推定された。一方側壁は隣接する底版と連続地下壁の外的な拘束を受け、温度下降域の外部拘束度はK=0.67程度と推定された。(5)実測された既知条件をインプットデータとして、コンクリートの温度応力を逆算した。その結果、底版では内部拘束型の応力が卓越し、普通コンクリートの温度上昇時に表面ひびわれの可能性が高いこと、また膨張材を適用すると初期の引張応力を低減することができ、初期ひびわれの防止に効果があることが認められた。また、側壁の場合には、外部拘束型の応力が卓越し、断面を貫通するひびわれ発生の可能性が高いこと、また、膨張材によって材令初期に導入された圧縮応力が残留して最終的な引張応力をかなり低く押える効果が認められた。この効果を定量的にみると、膨張材により導入された圧縮応力は、材令30日時点において底版中央で3.9kgf/cm2、壁体中央部で13.6kgf/cm2程度と推定された。
PDFファイル名 013-02-1158.pdf


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