種別 論文
主題 二成分系低発熱型高流動コンクリートの基礎物性について
副題
筆頭著者 渡部聡(熊谷組)
連名者1 田中健治郎(熊谷組)
連名者2 金沢克義(本州四国連絡橋公団)
連名者3 有馬勇(本州四国連絡橋公団)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 57
末尾ページ 62
年度 1992
要旨 はじめに
表題の二成分系低発熱型高流動コンクリートは、打設・締固め作業の大幅な省力化を可能とするハイパフォーマンスコンクリート]の範疇に属するものであるが、本研究では、明石海峡大橋の大規模基礎のうち、淡路島側に構築するコンクリート総打設量約25万m3の巨大な4Aアンカレイジ構造物への適用性を検討するための基礎実験を行った。当該工事に適用し得る高流動コンクリートに求められた制約条件としては、1)マスコンの温度ひびわれ防止対策として低発熱型セメントを使用すること、かつ、最大単位セメント量に限度があること、2)設計上の単位容積重量(2300kg/m3)を確保するために最大寸法40mmの粗骨材を使用する必要があること、3)アンカレイジ特有の部分的に過密な鉄筋・鉄骨の間を材料分離を生ずることなく流動し、それらの周囲を確実に充填すること、4)上記の流動充填性能は生コン製造後少なくとも1時間は保持すること、5)硬化コンクリートの品質は本四公団が予め基準として定めた低発熱型セメント使用の従来型の普通コンクリート(以後べースコンクリートと呼ぶ)と同等以上であること、などがある。これらの制約条件のうち1)、2)の条件は、高流動コンクリートとして全く前例がないことから、本研究に先立って多数回の予備実験を行った。その結果、適用を検討する高流動コンクリートは、1)材料分離抵抗性は、化学的に安定した高純度の石灰石微粉末を骨材の一部に代替添加することによって付与し、また、2)流動性は二成分系低発熱型セメントおよび石灰石粉との合性の良い高性能AE減水剤を適量使用することによって付与することとし、本論文では、当該高流動コンクリートのフレッシュ時の性状、強度、耐久性、断熱温度上昇特性などの基礎物性について報告する。
まとめ
本研究で得られた40mm骨材を使用した二成分系低発熱型高流動コンクリートに関する結論は以下のとおりである。1)良好な流動性と材料分離抵抗性を付与するに必要な石灰石微粉量は、120〜180kg/m3程度であり、セメント量と合わせた微粉量としては360〜460kg/m3程度となる。また、その場合の高性能AE減水剤の使用量は標準使用量の2.0〜2.4倍必要となる。2)フレッシュコンクリートの性状は、高性能AE減水剤の使用量が多いため、スランプロスは小さく、凝結時間は遅延する傾向がみられる。また、石灰石粉の添加量の増大によりブリージングは大幅に減少する。3)多量の石灰石微粉を添加した高流動コンクリートは同一水セメントのべースコンクリートに比べて圧縮強度は10〜20%増大する。また、中性化速度は10%前後遅延する。これらは、石灰石微粉の微細空隙充填効果およびブリージングの減少による内部欠陥の低減効果によるものと考えられる。乾燥収縮については、べースコンクリートとほぼ同等の値であった。断熱温度上昇については、高性能AE減水剤の影響により初期に遅延する傾向があるが、最大温度上昇は単位セメント量が支配的でべースコンクリートとほぼ同じ値であった。以上のように、今回開発した二成分系低発熱型高流動コンクリートは、基礎物性に関しては、所要性能を充分有していることが確認できた。
PDFファイル名 014-01-1006.pdf


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