種別 論文
主題 内部ひびわれを有するかぶりコンクリートの塩分浸透性に関する研究
副題
筆頭著者 氏家勲(宇都宮大学)
連名者1 小林清和(宇都宮大学)
連名者2 佐藤良一(宇都宮大学)
連名者3 長瀧重義(東京工業大学)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 843
末尾ページ 848
年度 1992
要旨 はじめに
鉄筋コンクリート構造物の鋼材腐食による耐久性低下が大きな問題として取り上げられて以来、数多くの実構造物の調査や各種の実験などから、コンクリート中の鋼材の腐食に及ぼす環境条件の影響やその腐食機構などが明らかとなりつつある。これらの研究成果から、鋼材の腐食に関係する主要因としては、鋼材表面の不動態皮膜を破壊する塩素イオン、腐食反応に必要とされる酸素と水の3因子が挙げられており、これら腐食因子の鋼材への供給の程度の相違により腐食形態や腐食速度が異なることが報告されている。従って、鉄筋コンクリート構造物の鋼材腐食による劣化の評価や寿命予測を行う場合に、上記の腐食因子がどのようにして鋼材へ供給されるかを明らかにする必要がある。腐食因子の一つである塩素イオンの鋼材への供給は構造物が置かれている環境に加えて、構造物の有している品質、すなわち、かぶりコンクリートの密実さ、かぶり、ひびわれや打継目などの欠陥の有無などにも依存する。かぶりコンクリートの密実さに関して、筆者らは引張を受ける異形鉄筋周辺に発生する内部ひびわれによりかぶりコンクリートの密実性が低下することを透気性の観点から既に明らかにしている。塩素イオンがひびわれ部はもとより鋼材全体に浸透する場合、ひびわれ部近傍の鋼材の腐食から鋼材の全面腐食に腐食形態が変化することが指摘されているが、内部ひびわれによるかぶりコンクリートの密実性の低下により腐食形態の変化を促進するものと考えられる。そこで、本研究では塩素イオンのかぶりコンクリートヘの浸透を取り上げ、鉄筋径およびかぶりを変化させ、内部ひびわれを生じさせた供試体の塩分浸透実験を実施し、無筋コンクリートの場合の塩分浸透性の結果との比較を行った。さらに塩素イオンのコンクリート中への浸透の支配方程式である拡散方程式をコントロールボリュームによる方法で数値解析を行いかぶりコンクリートに内部ひびわれが生じている場合の塩素イオンの浸透性について検討した。
まとめ
本研究は引張を受ける異形鉄筋周辺のかぶりコンクリートが内部ひびわれによりその密実性が低下することに着目して、鋼材の腐食因子の一つである塩素イオンの浸透性について実験を行った。塩水浸漬実験が促進試験であり、その期間が2ヵ月と短期間であるが、本実験の範囲では、内部ひびわれにより鋼材周辺のコンクリートに塩素イオンが供給され易くなり、無筋コンクリートあるいは引張力が作用しない場合に比べて早く鋼材が腐食する可能性の高い塩分量になることが明らかとなった。しかしながら、実構造物の置かれる環境条件下で、塩分が鋼材へ到達する時間や、浸透する量が内部ひびわれの有無によりどの程度変化するのか定量的に評価することや、また、酸素や水分の鋼材への供給のされ方などを含めて内部ひびわれが鋼材の腐食に及ぼす影響について今後検討する必要があると思われる。
PDFファイル名 014-01-1145.pdf


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