種別 論文
主題 フラットプレートの押し抜きせん断に関する実験的研究(せん断補強筋形状および補強筋量の影響)
副題
筆頭著者 山田哲也(三井建設)
連名者1  
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
14
2
先頭ページ 155
末尾ページ 160
年度 1992
要旨 はじめに
フラットプレート構造の構造的問題点として柱まわりの押し抜きせん断があげられる。これに対する設計手法として、日本ではスラブコンクリートのみによって評価する方法をとっている。しかし、米国では、鋼材を利用してせん断補強し、全体の耐力の増加を図る方法がとられている。ACI規準によるとせん断補強による負担量(Vs)は、コンクリートが負担するせん断耐力(Vc)の2倍以下という制限を設けている。これは、補強筋を考慮したせん断耐力(Vn=Vc+Vs)の限界値が、無せん断補強のコンクリートのせん断耐力の1.5倍になることを意味する。この様な設計手法を適用することができれば、スラブ厚を薄くすることにより、経済的な設計が可能となる。本研究では、スラブ曲げ補強筋との定着方法が異なる2種類のせん断補強方法に対し、せん断補強筋比を変動させ、その補強効果の定量的な検討を行った。1つは、ハット型形状に折り曲げた鉄筋を連結筋でつないだせん断補強ユニットを上下の曲げ補強筋の間に定着させる方法(ハット型)、2つめは、両端を180°フックに加工したせん断補強筋で上下スラブ曲げ補強筋を緊結する方法(フック型)である。本論文では、曲げ補強筋との定着方法によるせん断補強効果の違いおよび曲げ耐力と押し抜きせん断耐力の相関についての検討結果を報告する。
まとめ
本実験結果のまとめを以下に示す。1)下端の曲げ補強筋のみに定着させたハット型と上下の曲げ補強筋に定着させたフック型のせん断補強効果は、大きく異なる。同じせん断補強筋量で比較した場合、フック型のほうがハット型に比べて約4倍の補強効果があった。これより鋼材によるせん断補強を行なう場合、上下の曲げ補強筋を緊結する必要性が明らかになった。2)ハット型補強筋を用いた試験体の中で、補強筋の間隔がd/2(d:有効せい)以上になっていたもの(T4試験体)は、その間にせん断ひびわれが発生し、耐力の低下につながった。フック型補強筋を用いた試験体の中にも間隔がd/2を越えるものがあるが、耐力の低下は生じなかった。この原因は、二次元的な配置状態の違いからきており、前者はスラブ面内に補強筋のない通りができてしまうのに対し、後者は、1交点おきにしているため連続的な破壊面が発生しないためと考えられる。3)フック型補強筋を用いた試験体で、せん断補強筋比がほぼ同じであれば、細径のものを曲げ補強筋の全交点に配置したもの(K3試験体)と太径のものを1交点おきに配置したもの(K4試験体)は、耐力や変形性能等同様な性状を示した。4)せん断補強筋を用いた場合、せん断耐力に対して有効でない場合もありうるが、最大耐力後の急激な荷重の低下を防ぐことができ、じん性のある破壊性状を得ることができる。5)ACI規準(318-89)と比較した場合、補強筋量が比較的少ない範囲(1.0%以下)では、補強筋の効果を考慮した計算値は、適切な値を与える。また、補強筋量が多い(1.0%以上)場合には、上限値は(1.59(σ〈SUB〉B〈/SUB〉)〈SUP〉0.5〈/SUP〉)過小評価をすると考えられる。6)フック型補強筋を用いた試験体の曲げとせん断の実験値(M〈SUB〉u〈/SUB〉、V〈SUB〉u〈/SUB〉)を各々の終局曲げ耐力(M〈SUB〉n〈/SUB〉)とせん断耐力(V〈SUB〉n〈/SUB〉)の比で比較してみると次式の関係に近似される。(V〈SUB〉u〈/SUB〉/V〈SUB〉n〈/SUB〉) 〈SUP〉2〈/SUP〉+(M〈SUB〉u〈/SUB〉/M〈SUB〉n〈/SUB〉) 〈SUP〉2〈/SUP〉=1.43〈SUP〉2〈/SUP〉これより押し抜きせん断と曲げ応力状態を考慮した合理的に設計法が可能となる。
PDFファイル名 014-01-2026.pdf


検索結果へ戻る】 【検索画面へ戻る