種別 論文
主題 せん断滑り性状を考慮したプレキャスト梁端部の挙動に関する解析
副題
筆頭著者 川辺祥一(東京工科専門学校)
連名者1 望月重(武蔵工業大学)
連名者2 遠藤幸雄(武蔵工業大学大学院)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 471
末尾ページ 474
年度 1992
要旨 はじめに
プレキャストコンクリート構造は、現場工期の短縮化、コンクリート構造物の高品質化が可能であるばかりでなく、現場労働者の不足対策に有利な工法と言える。しかし、プレキャスト構造物の部材接合部の挙動が場所打ちコンクリート構造と比較して複雑であり、まだその抵抗メカニズムが解明されたとは言えない。そこで、本研究は、架構式プレキャスト鉄筋コンクリート構造の部位の中で最も重要であるプレキャスト梁と場所打ちコンクリート柱との接合部に着目し、非線形有限要素法によりプレキャスト梁端部(梁−柱接合面)の挙動に対する解析を試みる。現在、コンクリート、鉄筋の非線形を考慮した鉄筋コンクリート構造物に対する有限要素解析が盛んに行われており、多くの適応事例が発表され、その解析精度の高さが示されている。しかし、プレキャスト構造物に対する非線形有限要素法に対しては、せん断抵抗メカニズムが鉄筋コンクリート構造と比較して複雑なため、まだ十分にプレキャスト構造物の変形挙動を示すことが出来たとは言えない。プレキャスト梁端部でせん断力に主に抵抗しているのは、曲げモーメントにより生じた圧縮側の摩擦と、コンクリート境界面での滑りの発生に伴う鉄筋のダウエル効果とダウエル効果によるせん断摩擦効果が考えられるが、既往の直接せん断試験等から、圧縮力による摩擦の影響が大きいことから判断し、今回の解析では、コンクリート境界面でのせん断応力−摩擦すべり変位関係について扱い、ダウエル効果については考慮しない。本解析では、コンクリートの摩擦によるせん断力−摩擦滑り関係のモデル化を行う。そのモデルを解析に取り入れるには、境界面に接合要素を設けなければならない。一般にはクラックリンクを用いるが、それぞれのクラックリンクにばね定数を設定しなければならず、本解析では要素特性を定義し易い軸剛性とせん断剛性を持つ面要素(ボンド要素)を用いる。解析対象は、筆者らが行った梁がプレキャスト、柱が場所打ち鉄筋コンクリートの試験体の中で引張鉄筋比の異なる3体と、同じ鉄筋比で粗滑度の異なる試験体について行う。そして、得られた解析結果から、解析の妥当性の確認をする。
まとめ
本研究では、プレキャスト梁端部の滑り性状を考慮した非線形有限要素法解析を試みた。解析対象は、筆者が行った鉄筋比、粗滑度の異なる計4体の試験体について解析を適用し、解析と実験との比較検討を行った。その結果、各試験体とも荷重−部材角、荷重−滑り変位量は実験とほぼ一致し、かなり粗いモデルでありながら解析の妥当性は確認された。今後、より精度の高い梁−柱接合面のせん断伝達モデルを提案し、プレキャスト構造物のせん断力伝達メカニズムの解明を試みたい。
PDFファイル名 014-01-2082.pdf


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