種別 論文
主題 FRPを用いた合成梁の力学性状
副題
筆頭著者 鹿籠雅純(沿岸開発技術研究センター)
連名者1 清宮理(運輸省)
連名者2 山田昌郎(運輸省)
連名者3 末岡英二(東洋建設)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 679
末尾ページ 684
年度 1992
要旨 まえがき
コンクリート製の港湾・海洋構造物は、厳しい腐食環境下に置かれ材料の劣化対策が重要な技術課題となっている。鋼材と比較して耐食性に優れている繊維強化プラスチック(FRP)を用いることにより耐久性に優れた構造部材を作製することが可能である。また海上での工事は、気象海象など陸上工事と比較して相当な制約を受ける。そこで現地での工事期間を短縮し、かつ容易な施工とするためプレキャスト化が求められている。そこでFRPを格子状に成形して凹形のプレキャスト型枠を製作し、現地でこの型枠を利用して鉄筋コンクリート部材を作製する。型枠と鉄筋コンクリートとは、力学的に合成して両者で外力に抵抗させる。この合成梁の基本的な力学性状の把握と設計法の整備を目的として、曲げおよびせん断載荷試験を行った。本論文では、これらの載荷試験結果と既往設計法の合成梁への適用性について述べる。
結論
(1)今回対象とした合成梁の曲げ試験では、鉄筋の降伏後コンクリートの圧壊に至り終局を迎えた。FRPの破断は認められなかった。この時の載荷荷重は従来の梁の曲げ耐荷力の計算法で得られた計算値と良く一致した。(2)せん断試験では載荷点付近のコンクリートの圧壊で終局を迎えた。曲げ試験と同様にFRPの破断は認められなかった。この時タイドアーチ機構でもって二羽式によってせん断耐荷力を計算すれば、今回20〜30%せん断耐力を安全側に算定できた。(3)凹形型枠と中詰めの鉄筋コンクリートとは、設計荷重レベルではズレや剥離がほとんど発生せず、一体となって挙動し、骨材の洗い出しによる合成方法で十分であることが確認できた。ただしスタッドを用いない試験体(骨材の洗い出しのみ)では、せん断応力度が22kgf/cm2以上で両者間にズレや剥離を生じた。(4)曲げひびわれは、主に試験体下端のFRPの格子点から生じ、その発生荷重は全断面有効としてコンクリートの曲げ強度から求めた計算値の約1/2であった。凹形型枠のひびわれ幅の算定はコンクリート標準示方書に示す方法で、FRPを等価な断面積の丸鋼に置き換えて、中詰めの鉄筋コンクリートの主鉄筋を無視して計算すれば、安全側に算定できる。(5)今回用いたFRPの破断までの伸びは、約1.8%である。従来の伸びの小さいFRP材料(約1%)を用いると今回の載荷試験での力学性状とは異なる現象を得ることがひずみ測定の結果から予想される。FRPの力学特性、特に伸びに対する注意が必要である。
PDFファイル名 014-01-2117.pdf


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