種別 論文
主題 新規水溶性高分子の分子軌道法による負電荷量とセメント分散性
副題
筆頭著者 河村昌信(日本製紙)
連名者1 浜田真治(日本製紙)
連名者2 炭村栄一(日本製紙)
連名者3 中本奉文(日本製紙)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 263
末尾ページ 268
年度 1993
要旨 緒言
高性能AE減水剤には高い分散性、分散持続性(低スランプロス)のほか種々の性能が要求されているが、近年、骨材として海砂、砕砂、砕石の使用増による単位水量の増加、及び高強度、高流動化等の点から、特に高い分散性を有することが望まれている。また従来よりセメント粒子の分散機構は、セメント粒子の表面に分散剤が吸着し負電荷を与えてゼータ電位を高め、その静電気的反発力で分散すると界面電気化学的には考えられている。一方コンピューターの処理速度は急速に進歩し、ある程度原子数が多くとも、化合物が理論的に有する負電荷量を半経験的分子軌道法(量子化学的手法により化合物の電子状態を論ずる近似法)により計算することが可能となってきた。そこで分散剤の負電荷量を多くすることにより静電気的反発力を高めれば、分散効果が増大するのではないかという仮定から、半経験的分子軌道法を用い負電荷量を多く有する数種の新規な水溶性高分子を合成し、得られた水溶性高分子について、負電荷量の計算値とセメント分散性、及びゼータ電位の測定値との相関について検討を行い知見を得たので報告する。
まとめ
水溶性ビスフェノール系縮合物において、縮合物自身の有する負電荷量を多くすることにより、分散効果を大幅に向上させることが可能となった。またセメントに対する吸着量が同程度と考えられる水溶性ビスフェノール系縮合物について、半経験的分子軌道法で計算した負電荷量とセメント分散性とに相関が得られた。さらにゼータ電位の測定値ともほぼ相関が得られた。これはセメント粒子の界面電気化学的な分散機構は、粒子の表面に分散剤が吸着し負電荷を与えてゼータ電位を高め、その静電気的反発力により分散するというこれまでの理論と同様の結果が、計算化学(量子化学的手法)の立場からも得られたことを意味していると考える。なお、1)今回の検討では、負電荷量19〜13[-meV/g]の範囲においては負電荷量の計算値と分散性に相関が得られた。しかしこの範囲外ではセメントに対する吸着性が変化することが予想されるため、今回のような相関が得られるかどうかは検討を要すると思われる。2)ゼ一夕電位の測定は、近年高濃度分散系での測定例も報告されてはいるが、一般には実際の高濃度分散系とは異なる低濃度、低粘度の希薄分散系で測定されることに加え、測定誤差、また測定値のばらつきも少なくない。このため今後の分散剤(減水剤)の開発において分子軌道法で得られる情報は有用であると考える。
PDFファイル名 015-01-1043.pdf


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