種別 論文
主題 養生方法が暑中環境下で打設されるコンクリートの品質に及ぼす影響
副題
筆頭著者 小山智幸(九州大学)
連名者1 松藤泰典(九州大学)
連名者2 大久保孝昭(九州大学)
連名者3 ムハマド・ファウジ(九州大学)
連名者4  
連名者5  
キーワード
15
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先頭ページ 555
末尾ページ 560
年度 1993
要旨
暑中環境下で打設されるコンクリートは、他の時期に打設されるコンクリートと比較すると、打設時および養生中の温度が高いことによって、長期材令時における強度増進の低下および表層部の劣化による耐久性の低下等種々の品質低下を生じる。筆者等はこれまで暑中環境下で打設されるコンクリートの物性に関して実験・解析両面から検討を行い、主として表層部から散逸する水分量および断面内の温度分布について、以下のような知見を得ている。1)暑中環境下では打設後初期におけるコンクリート表層部からの水分の散逸が他の時期と比較すると非常に大きい。このため、表層部では水和反応の停滞によりポーラスな組織が生成されやすく、また急激な乾燥による収縮のため微細なクラックが生じやすい。2)暑中環境下では外気温度が高いため水和反応が活発になり、コンクリート内部の温度が上昇する。これに対し表層部では、上記の水分散逸による気化熱のために温度が低下する。このため表層部と内部との温度差が大きくなり、表層部に熱応力によるひび割れが生じやすい傾向にある。従って暑中環境下で打設されるコンクリートの表層部性状を改善するためには表層部からの脱水を抑制する必要があり、特に若材令時における養生が重要となる。この点に関してJASS5等の規準においては表層部の劣化や長期強度の低下を防止するため、保水養生・給水養生等の湿潤養生を行うことを求めているが、その開始時期や各種の養生による効果等については具体的に明記されていない。特に養生開始時期に関しては、打設直後から給水養生を開始するべきだとする規準がある一方で、脱水直後からの給水は水セメント比を見かけ上大きくするため有害であるとし、むしろ打設直後の脱水を容認する意見もあり、各規準、研究者により見解が混乱しているのが現状である。本研究ではこれらの点を考慮し、モデル暑中環境下において打設直後における養生方法および養生開始時期が長期強度や表面性状の改善に及ぼす効果について検討した。なお本研究では外気に曝される面積が大きいため表層部の劣化が生じやすい床スラブを対象とした。
結論
本研究では暑中環境下で打設されるコンクリートに関して、養生開始時期および養生方法の相違が強度性状および表面性状に及ぼす影響を検討した。得られた結果を以下に示す。1)暑中環境下で打設されるコンクリートの表層部劣化および長期強度低下を改善するためには保水養生または給水養生を適切な時期に行う必要がある。2)養生開始時期は水和反応過程を考慮して定める必要があり、水和反応が加速期に入る前後に開始する必要があることが明らかとなった。また水和反応がピークとなる時期以降に養生を開始しても強度・表面性状の改善効果は殆ど見られない。3)打設直後における表層部からの脱水は表層部の性状に悪影響を及ぼさず、また圧縮強度はむしろ大きくなる傾向がある。従って少なくとも打設直後から養生を開始する必要はなく、本実験の条件下では打設後約4時間前後から養生を開始すればよいことが明らかとなった。
PDFファイル名 015-01-1092.pdf


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