種別 論文
主題 スペクトロスコピー法によるコンクリート表面ひびわれの定量的深さ評価法に関する研究
副題
筆頭著者 磯部佳明(熊本大学大学院)
連名者1 大津政康(熊本大学)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
15
1
先頭ページ 637
末尾ページ 642
年度 1993
要旨 はじめに
高度成長期より現在まで、急激な建設投資により造られてきたコンクリート構造物において、アルカリ骨材反応や塩害、交通量の増加等の原因で、ひびわれや空隙等によると考えられるコンクリート構造物の早期劣化が多発している。今日、そういったコンクリート構造物の耐久性の欠如が大きな社会問題となると共に、その対策として非破壊評価法の開発が急がれている。ひびわれはコンクリート構造物の欠陥の中で最も普遍的であり、従来より様々な評価法が検討されてきた。ひびわれ探さの評価においては、弾性波動の到達時間差に基づく方法が提案されている。しかし、この方法はコンクリート中に弾性波の伝播速度の異なる介在物(鉄筋等)が存在する場合、その性質上適用が困難である。本研究は、超音波法のこの点での改良を目的としたスペクトロスコピー法の概念を用いて、鉄筋コンクリート部材のひびわれ探さを定量的に評価し、実用化する方法について検討を行った。現在に至るまでこの研究は小型の梁部材についてなされていたが、この目的のために、より梁高さのあるもの(ブロック供試体)を使用した。さらに、AEセンサの固定器具を開発し、手軽な計測を試みた。また、較正曲線を理論的に境界要素法(BEM)により決定する手段について検討した。
結論
本研究では、スペクトロスコピーを用いたコンクリートひびわれ深さ評価法の実用化について検討、考察を行った。これより得られた結論は、次の通りである。(1)人工的なひびわれを有し、RC構造としたブロック供試体を用い、ひびわれ周辺の情報を得るため1kHzから40kHzまでの応答を計測した。これにより、ひびわれの影響を受けている共振ピークを認めた。(2)応答スペクトルの計測において、実用性、簡易性の目的でAEセンサ固定器具(デバイス)を開発し、その適用を試みた結果両面テープによる固定法と類似しており、その有効性を確認した。(3)共振ピーク周波数の出現状況について、境界要素法(BEM)の2次元動的応答解析を行い、実験での応答スペクトルと共振モードによってつながりがあることを検証実験により確かめた。さらに、半無限体モデルを用いてひびわれ周辺の影響をもつ共振ピークを考察し、これにより20kHz付近にそれを認めた。(4)実験およびBEM解析結果より、ひびわれ深さが増加するにつれ、ピーク周波数が低周波数側に移動していくピーク(Fb)を確認した。このピークに着目し、周波数比Fb/Fb0とひびわれ深さの関係を較正曲線(=Calibration Curve)として求めたところ、BEM解析の結果と実験の結果が、ほぼ同一の較正曲線で近似されることが認められた。これより、このような較正曲線を用いてピーク周波数の変化からひびわれ深さを定量的に評価する可能性が示されたと思われる。
PDFファイル名 015-01-1106.pdf


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