種別 論文
主題 針貫入を用いたコンクリート構造物の劣化診断について
副題
筆頭著者 斉藤裕(東北電力)
連名者1 三浦尚(東北電力)
連名者2 氏家久芳(東北電力)
連名者3 KOOI KAM SIEW(東北電力)
連名者4  
連名者5  
キーワード
15
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先頭ページ 655
末尾ページ 660
年度 1993
要旨 はじめに
コンクリート構造物の劣化度を精度良く把握することは重要であり、精度の良い劣化参断は経済性を考慮した合理的な設備の維持管理を可能とすることから、その技術の確立を目指し、関係各所で研究が進められている。また、耐久性向上に関する研究などが進み新材料や新工法などを用いた構造物が増えてくると、これらの効果の検証などを目的に、劣化診断の重要性はより一層高まるものと考える。コンクリート溝造物の劣化調査においては、先ず、目視による外観調査が実施され、クラックなどの調査が行われる。最近はデータの一元管理を目指して、レーザーなどによる外観調査に関する研究も行われている。しかし、一方で、構造物に本来要求されている機能を考えると、必ずしも、クラックなどの発生が構造物の機能を低下させていない場合もあり、また、補修などの対策を行わずそのまま放置されるものもある。したがって、劣化診断における指標の選択は非常に重要であり、診断対象となるコンクリート構造物に求められている機能を十分考慮した上で、適切な指標を選択する必要がある。本研究では、コンクリート構造物の設計時にコンクリート強度が要求されるとともに構造物が抜本的な補修を余儀無くされる場合、その耐荷力(強度)の著しい低下が原因とされることが多いことなどにより、コンクリートの強度が劣化診断における重要な診断指標の一つであると考えた。強度を推定する方法としては、コア採取による圧縮強度試験によるのが最も一般的で精度も良いとされているが、骨材寸法に応じてある程度大きな径のコアを採取する必要があり、構造物に損傷を与えてしまうことなどから、測定可能な範囲が限定されるのが現状である。さらに、非破壊による推定方法が各種提案されているが、構造物の表面の情報から全体の劣化度を推定するものがほとんどで、構造物全体の耐荷力などを推定できる方法がないのが現状である。特に、東北地方に多いとされる凍害劣化などの場合、構造物の表面から徐々に内部に進行していくとされており、図-1に示すように構造物の表面からの深さ方向に強度が変化するものと考えられる。これらの劣化診断を精度良く行うためには深さ方向の強度の変化を把握する必要がある。したがって、本研究では構造物に与える損傷が少なく、できるだけ非破壊に近い形で構造物全体の劣化診断が行える方法の確立を目的とし、構造物から比較的径の小さなコアを採取し、深さ方向に強度推定を連続的に行う方法を考案した。強度推定は図-2に示す電動一軸圧縮試験機を用いて小型のコンクリート試料に銅製の針を貫入させ、そのときの荷重と貫入量の関係から圧縮強度を推定するものである。針形状の違いが推定精度に及ぼす影響に関する実験を行い、その結果を踏まえ実構造物への適用を試みた。
おわりに
限られたデータの中での検討となったが、実構造物への適用を試みた結果、針貫入試験による圧縮強度の推定の可能性が確認できたと考える。したがって、構造物全体の耐荷力の推定および劣化診断の精度向上ができる可能性が得られたと考える。最後に、今回一定貫入量における平均仕事により圧縮強度を推定したが、同様に直接、平均荷重(一定貫入量)あるいは平均貫入量(一定荷重)から圧縮強度の堆定を行うことも可能である。
PDFファイル名 015-01-1109.pdf


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